お勤めマジロとスコーンとヒゲ「どうしました、おじい様……この子を、私に?」
その時のことは、いつまでも覚えている。
「は、拾った? 大丈夫なんですか条約とか法律とか……問題ない? 本当ですね、何かあったら助けて下さいよ?!」
子供の小さくて柔らかな手の温もり、まだ頬が痩けていないあどけない面立ち、声変わり前の溌剌とした少年声。
「はぁ……えっと、こんにちは」
そして、一等星のような黄金色の目と視線が合った瞬間、直感したのだ。
「……ふふ、君、テニスボールみたいだな」
「ピュー」
己はきっと、彼に出会う為にこの世界、この時代に生まれたのだと。
◇
「さぁ、そこに掛けたまえ」
「ー……」
吸血鬼対策課本部のとある一室。部屋の主に促されてフカフカの椅子に渋々座った一玉のアルマジロは低い唸り声を上げた。
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