あくまとしんぷさまのおはなし郊外にほど近い場所にある、小さな教会。
そこには、淡い生成り色の髪をした神父様がいます。誰にでも優しくて、穏やかで、全ての罪を許してくれるお方。
そんな素敵な神父様に、近寄る人影がありました。
狐の耳と尻尾に、蝙蝠の羽根。
鋭い牙に、まん丸の赤い瞳。
そう、悪魔です。
悪魔は羽根をはばたかせ、言いました。
「ねえ、そこのお兄さん!俺と契約してみない?」
……間の抜けた悪魔は、神父様が神父様ということに気づいていませんでした。
神父様は、悪魔の手を取ってにこにこ笑いながら言いました。
「わぁ!君って本物の悪魔?凄いね!!」
神父様は、悪魔の手を握ったままキラキラした瞳で続けます。
「本当に僕と契約してくれるの?嬉しいなぁ!こんな素敵な悪魔さんと出会えるなんて!」
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