Allergic to "LOVE" 男女が路地を抜けようと明るい方へ走っている。
「早く!先に逃げろ!」
「っあなた…!」
男が繋いだ手を引いて女の背を押した。なめらかな肌を貫くはずのナイフが男の胸に刺さる。
それに心が騒めく。
「っぐ、あ……」
「あ……!」
女は男の健闘虚しくその場に腰を抜かした。必死に腕を使い後退る女の綺麗なワンピースが皺になる。土がつく。
この女は助かれない。
そう思った時だった。
「……っ!」
女が逃げる動きを止めて倒れた男に腕を向ける。既に事切れた肩を抱いて俯いた。
頭の中を苛立ちが駆け上がる。
「っ、っか、は……」
2本目のナイフを向ける前に女が血を吐いた。よく見れば首を切り裂かれていた。
殺したのは銀だった。
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