どうしてライは保護者面をするのか「ライ、バーボン。あなた達にはお仕置きが必要みたいね」
ベルモットが艶やかに微笑む。けれどその目は決して笑ってなどいなかった。それもそうだ、ほんの数時間前にライとバーボンは彼女の指示を完遂し損ねてしまったのだから。
「データは確かに入手してきたみたいだけど。あなた達の連携が悪いせいで銃撃戦になったそうじゃないの。お陰でボスから目立ちすぎたとお叱りを受けたわ」
嗜めるようなベルモットの口調に、ライは大きく舌打ちをした。
「殺さなきゃデータが手に入らなかったんだ。仕方ねえだろ」
「とはいえ、そこをどうにか交渉してこい、という仕事ですからね。非は僕らにあるということだ」
隣にいたバーボンは、随分と殊勝なことを言いながらベルモットに頭を下げた。けれど視界の隅に映った拳の震えが、彼もまたライと同じく、不可抗力だったと考えているのがわかる。
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