僕の番犬 : ライ氏の密かなる悩み 三人でのパーティー任務の翌日、俺は一人で魔女のもとを訪れた。
「何かしら。あなたが私に用だなんて、珍しいこと」
「これから、あいつを……バーボンを連れ回す時は俺も呼べ」
「あら? あんなくだらない任務に呼ぶのは最後にして欲しいんじゃなかった?」
あからさまな揶揄に苛立つが何も言えない。
「あの子が気にかかるんでしょ。ええ、分かるわ。それにあなたたち二人で並ぶとなかなか良いことも分かったし……いいわよ、任務に支障が無い範囲であなたも呼んであげる。うふふ、まるであの子の忠実な番犬ね」
「黙れ」
魔女の揶揄くらいで済むなら安いものだ。
どうしてあんな子どものような男がこんな腐ったところにいるのだろう。実年齢を聞いた今でも信じられない。見た目だけの問題では無い、なにか無垢でアンバランスなのだ。凄まじく有能で充分に腕も立つのは知っている。なのにどうにも無防備で、周りが見えていない。特に、自分に向けられる好意や欲望にひどく鈍い。
1993