【橙】 回し飲み いい加減陽が暮れてもいいんじゃないかという時刻になって、ようやく燦々と所構わず照りつけていた太陽が傾き始めた。それでも猛暑日を記録した気温は夕方になっても一向に下がる気配はない。せめて安直に腹の中から涼を取ろうと自販機の前に立ち止まるのが日課になっている。
無料にしてくんないかな、この自販機。小銭持ち歩くの面倒なんだけど。
そう思いながら、呪術高専の学生になってから自販機でジュースを買うことを覚えた俺は、からからと小銭を入れて、定番になりつつある『ファンタオレンジ』のボタンを押す。
後ろから伸びてきた腕が、同じように小銭入れに硬貨を入れると、こちらも定番になりつつある、ブラックコーヒーを押した。
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