タキオンが私をソファに組み伏せ、唇を重ねてくる。
いい子だ、などと囁かれながら彼女に髪や服を乱される。唇や舌が肌を這うのがわかる。
けれど私は抵抗しない、彼女は一線を越えてこないから。
歯の浮くような言葉も触れ方も、私にとっては可愛らしいものでしかない。彼女がどれほど私をものにしようと愛を注ごうとも、大人と子供の差というのは埋められない。
今日もまた、お遊びが始まる。
愛情は足りている、寧ろ私からタキオンへと与える愛の方が重いくらいだろう。
私達は確かに愛し合っている。それでも、
彼女の背中をそっと撫でると、恍惚とした笑みを返してくる。なんてあどけないのだろう……こんな単純な触れ合いで満足するなんて。かわいい。この気持ちは愛、でもストルゲーの愛だ。タキオンから向けられている愛とは違う。
彼女はとても聡明だから気付いている。私を愛でることで互いの愛がこれ以上深まりもせず、離れることもないと理解している。
タキオンが望んでいるのはきっと愛情の名の下に行われるスキンシップの実験でもなく、いつもの怪しげな薬品の効果の検証でもない。私という一人の人間にただ甘えたいだけの行為、小さな子供の独占欲。
だから私は彼女を抱きしめながら優しく言い聞かせる。
「私は絶対にあなたを、タキオンを一人にしない、離れない。あなたは恐れないで、安心して。」
拙い情愛で湿った身体を寄せることは厭わなかった。私に包まれた少女は、顔を見せることなく涙を流して震えていた。