halo 額の中央を綺麗に撃ち抜かれ、行く手を塞いでいた大男が糸の切れた人形のように倒れる。
銃声さえも聞こえないほどの遠距離から。しかも、僅かな狂いさえないヘッドショット。こんな芸当ができる人物など一人しか知らない。援護のためどこかで潜んでいるはずのその人は、今もスコープ越しにこちらを見ているのだろう。早鐘を打つ心臓を宥めすかし、せめて動作で感謝の意を伝えようとしたところで同行者に肩を掴まれ制止される。
「居場所が割れるとロックに危険が及ぶ」
短い言葉。だが、自分が軽率な行動をしたのだと気付かせるにはじゅうぶんだ。一瞬で腹の底が冷える。謝罪と感謝の言葉を述べると、肩を掴んでいた手が軽く背中を叩く。
「気にするな。俺も以前似たようなことをして叱られた」
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