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    遊ロア。逆襲のシャイン放送前捏造。

    #遊ロア
    sailor

    砕けてもダイアモンド


    様々な事情から遊我、ロア、ネイルの3人チームでのラッシュデュエル大会の出場が決まった夕刻、今日はチーム登録を済ませるだけで解散だと各々の家へと帰ろうとした遊我の腕をロミンがぐいとひっぱった。
    「どうしたの、ロミン」
    「ロアのやつ、何でもないみたいな顔してるけどきっと凄く落ち込んでると思うの」
    「そうかな」
    「そうよ!」
    こそこそと話すロミンの横ではルークが明日に向けて今夜はラーメンで乾杯だ!と腕を振り上げ、ラーメンは飲み物ではありませんよと学人が苦笑いを浮かべている。
    「私が一緒にいるべきかもしれないけど、ルークの奴がチームで決起集会だって言うから…」
    どうしたどうしたとこちらに寄ってくるルークに見えないように手を合わせて頭を下げるロミンに、なるほどと笑って遊我は頷いた。
    「分かった、ロアはボクのチームメイトでもあるしね」
    「流石遊我!ありがと!」
    「なんの話だ?俺たちは今からラッシュラーメンを食べに行く。チームの決起集会ではあるが?遊我がどーーーしても来たいというなら仕方がない一緒に――」
    胸を張りながらもチラチラとこちらを伺うルークに申し訳なく思いながらも、遊我は少し離れた場所でネイルを見送っていたロアに聞こえる様に声を張る。
    「ごめんルーク、ボク今日はロアの家でご飯食べようかなって思ってるんだ」
    「は?初耳なんだけど」
    ちゃんと声が届いたらしいロアが整った顔を歪めて振り向くが、夕日に照らされたその顔はそれでもどこか輝いて見えるから凄い。
    そして、そんな不機嫌そうなロアの声をかき消す勢いでルークに近付きルークから遊我を隠すように身を乗り出すロミンも、別の意味で凄い。
    「あらぁ!残念!でもチームメイトで決起集会をしたくなる気持ち、分かるわよねルーク」
    「いやしかし遊我は俺たちの仲間でもあってだな」
    「分かるわよね」
    「はい」
    本当に凄い。
    「いや俺様分かんないんだけど」
    「良いから!遊我も行きたいわよね!ロアの家!」
    「うん、ロアの作ったご飯食べたいなぁ」
    こうなったらやけ食いだ!と学人の元へと走り出したルークを放って、今度は遊我への詰め寄るロミンと一緒にロアに向かって「だめ?」と投げかければ、眉を寄せてしかめ面をしていたロアはため息を吐いてそのまま反対方向へと歩き出した。
    「好きにしなよ」
    「やった!じゃあまた明日ねロミン」
    「うん、またね遊我」
    背を向けながらも手を振るロアに2人で笑いながらお互いに別方向へ向かって歩き出す。
    きっかけはロミンではあるけれど、遊我だってロアのことはそれなりに心配だし、ロアの家に行きたいのも嘘ではないのでその足は自然と軽くなりあっという間にロアの横へと追いついたのだった。

    ::

    ロアの住むマンションに来るのはこれで3回目だけれど、何度来ても入り口から広くて天井も高い。
    1回目は呼ばれて直ぐカレーを食べよう!となって、その後はカレーまみれになってしまたし、2回目に訪れた時はネイルに負けたことで落ち込んでいたので実は部屋の造形をしっかり見ていなかったなと気付いて、廊下を進みながらリビングにつくまでずっと遊我はキョロキョロと周りを見渡してばかりだった。
    意外にも華美な装飾のない廊下に、無駄なものが置かれていないリビング、整えられたキッチン。シンプルなだけに壁に掛けられたレコードを模した表彰楯が華やいで見える。きっとなにかのコンテストの優勝賞品だったりするんだろう。
    「遊我ちゃんなにか飲む?」
    「水で良いよ」
    部屋の隅から隅まで見尽くしてやろうという勢いの遊我を気にすることなく、ロアはまっすぐ冷蔵庫に向かいロミンたちと解散した時ぶりに遊我に話しかけた。
    声の感じから怒ってる様子はない。
    「軟水しかないけどオッケー?」
    「うわぁ!アーティストっぽいね!」
    「オッケーってことにしとくよ」
    二人分のグラスが直ぐに出てくるあたり来客も珍しくないのかもしれない。ロミンだって勝手にキッチンを使うくらいには気安く訪れているようだし、ロアってそのあたり割とおおらかだ。
    隠すことなんてひとつもないみたいに胸を張って大勢の前で歌うし、あんな華やかなデュエルもできる。ロアは分かりづらいところもあるけど、実はとてもシンプルに生きているんじゃないかと遊我は思う。
    「どーぞ」
    「ありがとう」
    だからこそ、今日のことはちょっと以外だった。
    前回ゲッタがネイル陣営に寝返った時はなんだかんだで彼の手を引くためにデュエルをしたから、今日も去ってしまった2人のことを追うものだと思っていたのに、ロアは「仕方ない」とその背を見送るだけだったから。
    机の上を見えれば書きかけの楽譜と電子端末が置いてあって、きっと新しい曲を作っていたんだろうと察することが出来るから余計に。
    「これ新曲?」
    「そうだよ、華麗な俺様の最高にロックなニューナンバーってとこ」
    読めもしない楽譜を手に取って、上から下まで目を通す。どの記号がなにを表すかなんてさっぱり分からないけど、きっとこのロアの頭の中ではドラムの音が響き、ベースの旋律が楽曲を支える、新しくても変わらずに最高なロアロミンの新曲が流れているのだろう。
    そんな光景がもしかしたら二度とやってこないかもしれないことになっているのに、ロアはいつも通り自信満々に言い切るものだから、遊我はつい思ったことをそのまま口にしてしまった。
    「歌えるの?」
    言って後悔する。
    慰めてあげてとロミンが言っていたのに、少しでも元気になって欲しいと遊我も思っていたのに、これじゃあ傷心を広げるだけじゃないか。
    2人がいなくても歌えるの?ロアが作ったその曲を一緒に奏でてくれる人はもういないのに?とロアに突きつけてしまった言葉の刃は、しかしいつも通りの声にあっさりと返された。
    「当然じゃん」
    「っ、でも」
    「歌うよ」
    無理して話を続けて欲しくなくて、言葉を探す遊我とは違いロアの言葉に淀みも躊躇いもない。
    「俺様1人になったって歌う、これは俺様の夢で俺様の道だから」
    遊我の手から楽譜を奪って、五線譜の上の音楽をなぞるロアの表情は楽しげだ。デュエルをしているときの表情似ている…なにかに自分の身体と意志ひとつで挑むときのロアはずっとこんな風に笑っていたのだろうか。
    その手に掴むものがマイクだろうとカードだろうと関係なく、ロアを動かしてきたのはそういうシンプルな行動原理だけだと、さっき思ったばかりだったろうに。
    「遊我ちゃんは見惚れちゃうかもね」
    分かりづらいけどシンプルで、複雑だけどおおらかで、自分と同じ小学生の男の子なのにずっとずっとキラキラ輝いていて、輝くためにかっこつけている。
    「本当、ロアっていつでもかっこいいんだね」
    かっこつけているから、かっこいい。
    当然、と返すその顔は遊我にはいつもよりずっとずっと輝いて見えた。

    ::

    なんだかんだと文句を言いながらも美味しいカレーをごちそうしてくれたロアとの会話が楽しくて、すっかり当初の目的を忘れて入り浸ってしまった遊我もそろそろ帰る時間だとふかふかのソファから腰を上げる。
    「今日はありがとう」
    「どーいたしまして」
    結局最後までいつも通りのロアで、ロミンの心配も杞憂だったんだなとつい気が緩んでしまったのがいけなかった。
    「慰めるつもりがボクが楽しいだけだったなぁ」
    今日二度目の失言に気付いたのは、眉を下げたロアの表情を見た時だ。
    慰めに来たなんてロアからしたら屈辱以外のなにものでもないのに!と慌てて言葉を続けようとしたけれど、今度はロアの笑い声に遮られた。
    「慰める気あったんだ!ロミンとなんか話してたからそうじゃないかと思ったけど遊我ちゃん同情するの下手くそすぎない?」
    「同情なんて、そんなんじゃ」
    「別に良いよ」
    律儀に玄関まで見送りに来てくれるロアに、遊我はなにか良い言葉はないものかと手をうろうろとさせてみるが、普段察しの良い学人やロミン、傷ついたら素直に傷ついた!と叫ぶルークと一緒にいるせいかとっさに誤魔化す言葉すら出てこない。
    逆にロアはと言えば、笑っていたかと思えば今度はまた眉を下げて、ぐいぐいと玄関から遊我を追いやろうとする。こちらもこちらで言葉も行動も分かりづらい。
    「まぁ、やるならゲッタちゃんたちと一緒が良かったのは本当だし」
    「えっ」
    「でも、俺様1人でもやることが変わらないのも本当だ」
    遊我よりも背丈が大きいぶん押されてしまえばあっという間にドアの外に出されてしまう。
    最後に勢いよく背中を押されてよろけたところに乱雑に靴が投げられて、遊我の背中にぽこんと当たったところでようやく振り向けばドアの僅かな隙間から見えるロアはさっきの困り顔が嘘だったみたいにいつも通りの勝ち気な笑顔で手を振っていた。
    「次来る時はもうちょっと上手に慰めてくれよ?」
    そして、そんなかっこつけた笑顔のままで弱音を吐いたロアは遊我の返事を聞くことなくさっさとドアを閉めて、そのまま無情にもオートロックがかかる音がマンションの廊下に響いた。
    「えー…」
    霧島ロアはかっこつけでかっこよくて、でもちゃんと傷付いていたんだと最後の最後に突き付けるその手腕はお見事としか言いようが無い。
    そうやって魅力的な姿を意識的にも無意識的にも見せつけて色んな人を、ゲッタを、ウシロウを、それにロミンを引きいれたたんだろうなと思うと、悔しいのやら感動するのやらもうよく分からなくなってきてしまう。
    「慰める…慰めるかぁ…」
    でも、ロアが遊我に求めているのはきっとバンドメンバーたちのような関係ではないのだろうなとも分かっているのだ。だってロアはロミンたちに「慰めて」なんて絶対に言わない。
    なら、これは遊我だけの特権だ。
    「うん!じゃあボクのロードの出番だ!」
    だからまずは、とっさに上手な言葉を返せるような…そんな新たなロードの開発をしてみるのはどうだろうかと、遊我は弾む足取りで帰り道を早足に進むのだった。
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    yktuki

    DONE遊ロア。逆襲のシャイン放送前捏造。砕けてもダイアモンド


    様々な事情から遊我、ロア、ネイルの3人チームでのラッシュデュエル大会の出場が決まった夕刻、今日はチーム登録を済ませるだけで解散だと各々の家へと帰ろうとした遊我の腕をロミンがぐいとひっぱった。
    「どうしたの、ロミン」
    「ロアのやつ、何でもないみたいな顔してるけどきっと凄く落ち込んでると思うの」
    「そうかな」
    「そうよ!」
    こそこそと話すロミンの横ではルークが明日に向けて今夜はラーメンで乾杯だ!と腕を振り上げ、ラーメンは飲み物ではありませんよと学人が苦笑いを浮かべている。
    「私が一緒にいるべきかもしれないけど、ルークの奴がチームで決起集会だって言うから…」
    どうしたどうしたとこちらに寄ってくるルークに見えないように手を合わせて頭を下げるロミンに、なるほどと笑って遊我は頷いた。
    「分かった、ロアはボクのチームメイトでもあるしね」
    「流石遊我!ありがと!」
    「なんの話だ?俺たちは今からラッシュラーメンを食べに行く。チームの決起集会ではあるが?遊我がどーーーしても来たいというなら仕方がない一緒に――」
    胸を張りながらもチラチラとこちらを伺うルークに申し訳なく思いながらも 4090

    yktuki

    DONE知らぬ間に同人誌が発行される鍾タルの話。
    10割モブしか話してないです。
    それでも筆を取るのでしょう


    桃白は瑠璃亭で働く従業員の一人だ。
    店内の清掃に始まり、倉庫の整理、入荷伝票の確認、接客、会計、顧客の管理まで幅広くこなすことを要求される瑠璃亭の従業員の中でも勤務期間で言えばちょうど中堅といえるような従業員である。大きなミスもなく、調理師や管理人との仲も悪くもなく、もちろん同じ従業員たちのなかでも“普通に優秀”と言われるような、瑠璃亭の従業員であることに恥じない品行方正な人間であると自負している。
     そんな桃白の最近の悩みの種であり生きる糧でもあるのが、作家活動である。
     …作家などとおこがましいのだが、他にどう言って良いのか分からない。同好の士が集まる中で更に同じ趣味嗜好を持つ同人たちで活動を行っており、桃白は文字を綴り、本を作っているというだけの話であることは最初に言わせて貰いたい。
     自分で言うのもどうかと思うのだが、桃白は手際が良く仕事を苦だと思ったことはない。なので、その傍らで活動をしていても今までは全く問題がなかったのだが、最近はそういうわけにもいかなくなった。
     その理由の一つが璃月の変化である。
    迎仙儀式を機に暗雲が立ちこめはじめた璃 6778

    yktuki

    DONE鍾タルは添えるだけ。
    誤字脱字は後々直します。
    智の渦に溺れるなかれ

    香菱がいる時の万民堂に外れはない、と言うのは璃月では知る人ぞ知る有名な話ではあるが、大衆食堂という形式をとっている以上それが例外になる場面は稀にある。
     例えば、千客万来で店が一等忙しいとき。それかお酒が回った客がはしゃぎすぎたとき。そしてなにより、今。
    「はじまりました!万民堂格付けチェック!今日の特別ゲストはスネージナヤの使節様だよ!」
    いや、なんだこれ。
     仕事が終わった足で旅人に呼ばれるままにタルタリヤが万民堂に来てみれば、夜の璃月には珍しくもない酔っ払いたちの真ん中で万民堂の人気を支える件の看板娘が木べらを片手に椅子の上で音頭をとっていた。お行儀が悪いから止めた方が良い。
     その直ぐ横には香菱の言葉に併せて楽器をかき鳴らす娘さん(たしか辛炎と言ったか)がこちらもご機嫌に身体を揺らし、その横ではニコニコと笑う少年が暢気に茶を啜っていた。
    「提供は飛雲商会さん!代表代理として行秋君から一言どうぞ!」
    「皆さん頑張ってください。あと僕の独断なので兄たちにはご内密にお願いします」
    いや、なに言ってんの本当。
     重ねて言うが、仕事が終わった足でここに訪れたタルタ 5408

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    のくたの諸々倉庫

    DONE論破パロでそれぞれがクロのやつ▼タルタリヤさんがクロに決まりました。オシオキを開始します。

    「……嘘、だろう?」
     言いながら、ふらりふらりと歩み寄ろうとする先生を手で制した。
    「ほんとだよ、先生」
     ああ、今俺はうまく笑えているだろうか。殺害動機は故郷の家族を守るため、なんて言えば誤魔化されてくれるだろう、この愛おしきカミサマは──しかし今、全ての力を封じられ、今から俺に降るであろう死の雨を防ぐこともできないのだ。
    「ごめんね、先に逝くよ。
     ……生きて帰るんだよ、先生」
     だから彼が伸ばす手を、ひらりと避けて処刑場へと踏み込んだ。いつもの軽薄な笑顔で、彼の愛した「タルタリヤ」のまま。
     そうして先生が俺を呼ぶ声を遮り、重い扉が閉ざされる。途端込み上げた狂うほどの笑いを、噛み殺すことができない。


     ねえ、先生。これで俺は、先生の「永遠」になれるのかな。






    ▼ショウリさんがクロに決まりました。オシオキを開始します。

    「……なんの、冗談?」
     言われて少し考える。なるほど、公子殿は俺が殺しをしたことが信じられないらしい。そうして今から、俺が処刑されることも。
    「……すまないな、お前たちを守るために… 699