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    htgw_h

    @htgw_h

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    MOURNINGガスウィル小話 お花見のつもりで書いたけど迷走したのでここに供養…―デートしないか?

     断られるかな、とあまり期待せずに口から出た誘いの言葉は、彼の「いいけど、」という小さな声によって受け止められた。その意味がすぐには理解できなくて、ガストはぽかんとウィルを見つめる。

    「なんだよその顔」
    「えっ、いや…まさかOKしてくれるとは思わなくて」
    「…断ってほしかったならそうするけど」
    「いやいやまさか!嬉しいに決まってるだろ」

     目をそらして呟くウィルに慌てて弁解して、「どこに行きたい?」と前のめりに問いかけた。彼の気が変わらないうちに予定を立ててしまいたい。
     紆余曲折あり、ガストとウィルが恋人同士になったのはいくらか前のことだ。が、未だ恋人らしいことはしたことがない。お互いまともな恋愛経験がない同士、少しずつ進んでいければ良いと思ってはいるが、最初の一歩を踏み出したかった。
     ちらりとこちらに目をやったウィルは、ひとつ咳ばらいをしてから、覗き込むように首をかしげてガストを見つめた。その蜂蜜色の瞳は、いつも自分に向ける鋭さとも他の同期に向けるような柔和さとも違い、どこか試すような光を宿している。


    「夜桜」
    「…ん?」
    「夜桜が見に行きたい」

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