夏の感触 海に来るまでは浮き立つような気分だった。
照りつける太陽、灼熱の足元、城とは何もかも違う開放的な天地。
姫のお忍び休暇、限られた者だけ連れてやってきた真夏のデルムリン島の午後。
--- Popp
ヒャドで作ってやった氷バケツに飲み物を差し、姫さんの為に大きな傘を砂浜に立ててやり、先に海に入っていたダイに向かってようやく駆け出した。飛び散る水しぶき、青い空! 端の方に陰鬱な白いイケメン!
少しは気が晴れると思っていた。しかし相変わらず背中に張り付く視線が重い。
パプニカでの生活の中で何度も感じた物言いたげな視線。声を掛けてみたがうまく[[rb:躱 > かわ]]され、それなら見るなと言いたいがそれも[[rb:往 > い]]なされ、今日もああして端の方からおれを見てる。言いたい事があるなら言えってんだ。
2003