つきあかり月が次に満月になったらまた来るぜ。それで全部終わるからよ。
またな───
そういって去って行った魔法使いは、予告どおりに次の満月の夜に訪ねてきた。
「じゃあ始めるか」
部屋に淡い緑の光が広がる。ベッドの上、オレの胸辺りにそっと触れた手から光を放つ魔法使いの顔は、いつものひょうきんさがまるでなかったかのようなほど真剣で、綺麗だった。
一度綺麗だと呟いたこともあったが、集中が切れたと叱られた。ゆえに、今は黙ってその顔を見つめる。
この光はオレの体を癒すために考えた魔法らしい。暖かさを感じるその魔法は確かに壊れた身体を癒し、少しずつだが力が戻るのを感じていた。
今では剣を振るうこともできるようになっている。
何ヵ月もかけて定期的に通ってくる献身さには感謝しかなかったが、それも今夜で……
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