「そんなことだろうとは思っていたけど、君は驚くほどやる気がないねえ」頬杖をついてこちらを見ていた神代類は大きなため息をついて言った。
「そりゃ、冬弥に無理矢理連れてこられただけなんで」東雲彰人は負けじとため息をつきつつ、手に持ったペンを弄ぶ。「つーか神代センパイには頼んでないんだから、帰ればいいじゃないですか」
「僕はその冬弥くんに頼まれてるんだよ」
余計なことを、と彰人は思ったが委員会の仕事がある相棒に全て頼り切るわけにもいかないことはわかっているので、諦めて目の前に広げられた問題集に意識を向け、もう一度大きくため息を吐いた。
テストが近い。いつもならヤマ勘で勉強する箇所を絞ってなんとかしようとする彰人だが、今回は青柳冬弥がそれを許さなかった。
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