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    のうわ

    @nouwa__prsk

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    のうわ

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    尻叩き用!
    加筆したので初めから載せます。

    ・男性妊娠ネタ
    ・年齢操作
    ・勢いのままなので誤字脱字あると思います🙇‍♀️
    (一応言っておくと私はハピエン大好きです)

    初めて書いた設定だから穴だらけ
    前置きとして「BLはファンタジー!!」矛盾してるぞ!と思ってもスルーして…!



     ああ、やっぱり、やっぱりそうだったのか。
     オレはそっとお腹を撫でて、この家を、類と暮らすふたりの家を出る準備を始めた。


     七月末、類がショーの演出をしに海外へ行くことが決まった。約六ヶ月のお仕事。類は長期間家を開けてオレを一人にする事を心配していたが、寧々もえむも家族もいるから大丈夫だと、寂しさで既に泣きそうな顔を隠し、笑顔で見送った。
     その帰り道、類を空港まで送った帰りの車の中でオレは、ネットで妊娠検査薬を買った。

     オレは、男なのに生理が来て、確率は低いが妊娠できるという特殊な体に生まれた。家族はオレを全力でサポートしてくれている。両親は学校への理解を求める説明をしてくれた。咲希はオレの分も含めた、ふたり分のナプキンをいつも買ってきてくれた。デザインもなるべく男のオレが困らない様なシンプルなものを選んでくれている。
     オレが類と二人で暮らす様になった今は、月に一度類のいないタイミングで実家を尋ねるオレに、そっとナプキンを渡してくれていた。
     そう。この言葉から分かる通り、オレは大人になっても、類に自分の体のことを打ち明けられなかったのだ。高校の時から付き合い始めて十年近くも経ったのに、類への信頼は十分なはずなのに。あまりにもレアケースな話題だから怖くて何も言えず、ただ月日だけが過ぎていった。
     オレは罪悪感を抱えたまま、類にずっとこの事を隠し通す事を決めた。ずっと一緒に暮らし続けても、五十代頃には生理が止まる。それまでの、オレのあらゆるものをかけた様な、大きすぎる隠し事。
     まず、一緒に暮らすにあたってオレは家事の分担を提案した。例えば洗濯物。生理用の下着は仕様が違う為、素人目にも分かってしまう。だから、洗濯物はオレが全て引き受けることにした。それでも、類が善意で手伝うこともあるはずだと踏んだオレは、類の居ないタイミングで洗濯機を回し、下着を優先的に乾かす方法を取った。もし、類がずっと家にいる場合は、家族に協力を頼んで下着だけを洗濯してもらうよう頼んだ。
     それから、ゴミ出しもオレが引き受けた。まず、普段から燃えるゴミを黒いビニール袋で集めることにした。ゴミ出しの日には家中のゴミ箱を集めて、まとめて大きな黒のビニール袋に入れる。そしてそれを地域の燃えるゴミの袋に入れて出す様にしたのだ。そこまでしてしまうと、中身は見えないから類にゴミステーションまで出してもらう様に頼むことだってできる。我ながら名案だったと思う。
     他にも、トイレ掃除をオレが引き受けたり、自室を作れる物件を提案してナプキンを厳重に管理したり、下着にナプキンを入れられるポケット付きのものを選んで毎回自室に寄ってトイレへ行くという不自然を減らしたり。できる限りの工夫をした。
     全部、オレには必要なことだったのだ。類はちょっとやそっとのことでオレを嫌いになったりなんかはしない。もう、オレの汚い所を十分に見せてきて、それでも離れていかなかったのが何よりの証拠だ。でも、『男なのに生理が来て妊娠できる』ということだけは重たすぎた。これだけは、類が離れていってしまうと不安だった。
     何より、最愛の人を信じられない自分が嫌だった。
     でも、オレは決めたのだ。類にこの事をずっと隠し通していくと。
     幸い、類は性行為をする時には必ずゴムをつけてくれて、オレを常に気遣う様な優しすぎる人だった。だから、生理の時には疲れている風を演じていれば誘われなかった。生理が止まってから、時々オレから勇気を持って声をかけると、類はふにゃりと顔を緩めて喜んでくれた。ちゃんと、気持ちよくしてくれた。
     だから、今までの十年間、オレは類にこの事をずっと隠し通せてきてしまったのだ。何せ、オレは役者なのだ。スターを目指す役者。だから、生理痛で辛い時も、こっそり痛み止めを飲んで、元気な風を演じた。罪悪感でちくちく痛む心も、なんでもない風を装って隠した。悲しい時には泣いて、イラッときた気は怒って、時には喧嘩もして。心から幸せな時も、楽しい時も、面白い時もたくさん笑って。そして、秘密を隠す時に笑った。
     何も悟らせない。何も勘付かせない。そう、オレの隠蔽は、恐ろしい程に上手くいく完璧なものだったのだ。
     だが、それは砂で作ったお城の様なもの。いつか、崩れる時が来る。それは分かっていた。そして、その時が来てしまう。

     それは先月、六月のこと。オレ達は同じ家の中に暮らしているのにすれ違う日々が続いていた。ふたりとも、多忙を極めて忙しなく動く毎日。それが六月末に、ようやくふたりの休みが重なったのだ。類もオレも二日間の休日。勿論、ゆっくり過ごすという手もあったが、オレたちはお互いに触れられていないと言う事実がひどく寂しかった。
     だからその日は、類がお風呂に入っている間に食器を全て食洗機に並べ、翌日の朝食の下準備まで済ませた。そして類と交代でお風呂場に向かい、念入りに自分の体を綺麗に洗った。
     その後はどちらともなくベッドになだれ込み、空いた隙間を埋め合う様に、離れていた寂しさを消し去る様に、お互いだけを求めた。何度触れても空いた穴を埋めるには足りなくて、何度も何度もお互いを狂った様に求めた。お互いを掻き抱いて、声にならないうめき声のままうわごとの様に何度も名前を呼んで、何もかもがぐちゃぐちゃになってぐずぐずに溶け切るってもなお、求め合った。
     結局、何回したのか分からなかった。理性なんてとうの昔に木っ端微塵に散って、最後の方は意識すら飛んでいた。その証拠に、途中から記憶が無かった。
     朝、目が覚めた時に綺麗にされていた体が酷くだるくて、まだそこそこ残っていたはずのゴムの空箱がゴミ箱に捨てられたのを見て、大体の回数を知った。まだまだ自分達も若いものだと苦笑いせざるを得ない状況。
     何もしたく無いほど体は重たくて辛いのに、湧き上がってくるのは幸せだけ。オレは朝日の眩しさに目を細めながら、その幸せをただ噛み締めた。
     喉の渇きを感じて、念のために枕元に置いていたミネラルウォータのペットボトルに手を伸ばして、からからだった喉を潤す。隣では紫が安らかな顔で眠っていた。昨日のぎらついて、それでいて愛の溢れた表情が急にフラッシュバックして、ぽっと頬が赤くなる。
     まだ、だるいから。それを火照った顔の言い訳にして、類にそっと寄り添い二度寝を楽しんだ。


    「類! 荷造りは済ませたのか!? 半年も帰って来れないんだからちゃんと準備して行け!」
     七月、オレは全く荷物をまとめる気のない類を叱りつけながら、一緒に荷造りを手伝っていた。窓の外は蝉の大合唱。家の中ではクーラーがフル稼働していた。暑い暑い、なんて事ない夏の一日だった。
     類は七月の末から、海外での演出の仕事が決まっていた。期間は半年。勿論寂しかったが、オレは類が評価されている事実に喜んで、笑顔で類を送り出す事にした。
     段ボールの中に着替えを詰めながら類の背中をじっと見つめる。ロボットや工具をまとめる様に言ったのに、いつの間にか類はロボットの改良をしていた。本当に、興味のない事には目がいかないし、長続きしない奴だ。オレは専門じゃないからと、せめて機械類だけでも自分でして欲しかったのに。
     シャンシャンシャンシャン
    「昼は冷やし中華にするか……」
     蝉の声と、類が機械を触る音を聞きながらそう呟いた。
    「いいねぇ。夏だねぇ……」
     ニヤッと笑う類に、「お前はまず機械類を箱に詰めろ」と背中を軽く蹴りつけた。

     どうにかこうにか、類に荷造りを終わらせる事に成功したオレは、段ボールを類の宿泊先へと配送する手配まで終えて、ようやくひと段落。これで類が向こうに着いた頃には荷物がきちんと届くはずだ。
     もう、類が海外へと向かうまで一週間を切っていた。
     とりあえずしなければならない事を全て済ませたせいか、段々眠気が襲って来た。体もだるくて、少し頭痛がする。きっと、安心したせいだ。ああ、でもお昼ご飯を作らなくては……。そうしている内に段々と眠気が増して来て、オレは見事にソファーで寝落ちしたのだった。
     ちなみにその日、オレが目を覚ましたのは夕方だった。目が覚めた時にオレの体にタオルケットがかけられていてありがたく思うと同時に、時刻が昼どころか夕方を指していたので、慌てて類に謝った。外はすっかり濃いオレンジ色。何度も謝るオレに類は「構わないよ」と言って、おまけに甘やかそうとして来るのでオレが恥ずかしさで死んだ。
     __だが、今思うとこれも、オレの体の変化を知らせるサインだったのだ。

     類が日本を立つ三日前。オレは毎日記録をつけている体温のグラフを見ながら首を傾げていた。この時期に平熱より下回る体温が、いつもよりも高かったのだ。そして、月半ばで来る予定の生理がまだ来ていないのだ。元々オレは周期が乱れやすかったので何でもないだろうと放置していた。
     が、オレの頭は考えたくも無かったある可能性を弾き出した。一生使わないだろうが念の為として蓄えられていた知識のひとつ。その可能性に思い当たってしまったのだ。
     震え出す体。でも、まだ分からないから。そうとは限らないから。自分を奮い立たせて、なんとか家事をこなした。割ったお皿をたったの一枚に留めたのは、我ながら偉かった。
     オレは、類が最後の買い出しに向かっているタイミングを見計らって、ネットで検索をかけた。画面をスクロールする手は震えている。ページをいくつか見終えて、オレは天を仰いだ。心の中は一瞬で負の感情に支配され、すうっと目の前が真っ暗になっていく感覚。真っ暗になった視界にありありと思い出されるのは、記憶が飛ぶほどに求め合ったあの日。

     震えるオレの中にあるスマホは『妊娠の初期症状』のページを指していた。





    「それじゃあ。類、いってらっしゃい」
    「類くん、頑張ってね!!」
    「類、司を寂しがらせたらはっ倒すよ」
     七月末、類が海外へと旅立つその日にオレと寧々とえむは各々激励の言葉をかけていた。へにゃりと寂しそうに表情を歪ませた類が、ぎゅっとオレを抱きしめる。オレも類の背中に手を回して、力一杯抱きしめ返した。多いく息を吸って、類の匂いを肺いっぱいに取り込む。
    「つかさくん、毎日連絡するからね」
    「毎日は大変だろう。できる時にしてくれたらそれでいい」
     耳元で類があまりにもしゅんとした声で話すので、オレはちょっと笑ってしまった。可愛い奴め。だから。だから__
     離れたく、ないなぁ……。
     覚悟していたはずなのに。泣きそうになるのをグッと堪えて、オレはもう一度ぎゅっと腕に力を込めた。名残惜しくて仕方が無い。でも、そろそろ時間だ。オレはそっと類の体を離して、応援の意味を込めて肩をバシッと叩いた。
    「司くん、愛してる」
    「オレもだ。愛しているぞ」
     だから。さようなら、最愛のひと。ずっとずっと、お元気で。
     何度もこちらを振り返って手を振る類にずっと手を振り返しながら、オレはずっとその背中を見つめていた。声も、顔も、匂いも、優しい後ろ姿も、全部ぜんぶ目に焼き付けて。きっと最後になるであろうその姿を、ただじっと見つめていた。

    「それじゃあ、オレは帰るぞ」
    「寂しくなったらいつでも呼んでね! 司くん!!」
    「私も、呼ばれたら行ってやらないこともない」
     自分達だって寂しいはずなのに、オレの心配ばかりしてくれるふたりに思わず笑みが溢れる。よしよしとその頭を撫でてやると、寧々は少し鬱陶しそうにしていたが、ふたりともちょっと嬉しそうに笑っていた。その笑顔も、しっかりと目に焼き付ける。
    「ありがとう、ふたりとも。またな!!」
     「また」は来ないけれど。オレはとびきりの笑顔で二人と別れ、自分の車に乗り込んだ。今にも溢れそうな涙をグッと堪えて。オレは、安全運転を心がけて帰路についた。


     数日前、オレはネットで注文した妊娠検査薬で調べていた。案の定『陽性』にくっきりと引かれたライン。
     思わず、自分の腹を撫でる。まだ薄いここに、自分のお腹の中に、類との子供がいるのだ。沸き上がってくる喜び。素直にとても嬉しかった。最愛の人との子供を喜ばないわけがない。
     でも、喜びと一緒に沸いたのは恐怖や不安だった。オレは妊娠できる体質のことを類に伝えていなかったから。このことを知ったら、類はオレから離れていってしまうかもしれない。それがどうしようもなく怖くて、そう感じてしまう自分が憎らしかった。
     類が帰ってきたら子供が出来ましたなんて、言えるわけが無い。今回の海外も、類の演出が評価されてきたことの証明だった。オレは劇団のスターだけでいっぱいだったが、類はようやく軌道に乗り始めたのだ。邪魔したくは無かった。

     オレは妊娠の可能性に思い至ってからずっと悩んで悩んで悩みまくった。
     諦めることも考えたが、この命を殺す事はオレにはどうしても出来なかった。だって、もう新しい命はここで懸命に生きようとしているのだ。
     確かに自分の中にある命を産みたかった。でも、それと同じくらい怖くて仕方がなかった。
     だが、オレは今、その覚悟を決める時。
     絶対にたくさんの人に迷惑をかける事になるし、生まれてくる子供にも不自由をかけてしまう。
     果たして、オレはその全てをひとりで背負えるのか。
     ここ数日はずっとその事を考えて考えて考え続けた。この『陽性』の結果を見て、あらゆる事を考えて。オレはようやく決められた。覚悟が決まった。どれだけ苦しめられても、悩んでも。ひとりでこの重荷全てを背負い、この子を大切に育てていく事を。そして、『類の前から姿を消す事』を。

     そして、冒頭に戻る。覚悟を決めたオレはこの家を去る準備を始めたのだった。


     だが、まずは病院に行かねばならない。
     オレはこの体質が分かってからずっとお世話になっている病院に電話をかけて、診察の予約をとった。

     診察日当日。オレは、事前にネットで調べていた問診の内容と答えをメモした紙をしっかりと手帳に挟み、保険証などの必要なものがきちんとカバンの中に入っていることを確認して家を出た。
     病院で改めて尿検査やその他の検査を受け、オレが本当に妊娠していることが分かった。昔からの付き合いである医者、杉本先生に「妊娠おめでとう」と柔らかく微笑まれる。が、その表情はすっと険しくなる。
    「司くん、まず君は普通分娩ができない。帝王切開になるよ」
     先生の目を見てしっかりと頷いて返すと、先生は更に言葉を続けた。
    「男の体ではやっぱり難しいんだ。だから君は無理をしちゃいけない。特に君は無茶ばっかりするから、この子のためにも気を付けてあげてね」
    「気を付けます」
    「それで……パートナーは?」
     多分、先生が一番心配してくれた事。だってオレは、女性と付き合っていたのならここに来るはずもないのだから。
    「ちゃんと自分の事、話せてる?」
     その言葉に、オレは思わず下を向いてしまう。
    「話せていないの?」
     オレの反応に先生の言葉が鋭さを増す。オレはちいさく頷いた。
    「そんなにひどい人なの? それならその人を連れてきて。僕が直々に話をするから。天馬さんは? 家族は知ってるの?」
    「違う、類はそんな人じゃない……オレにはもったいないくらい優しい奴だ……」
     止まらない先生の言葉を遮ったオレの声は、震えてとても頼りなく聞こえた。オレを気遣う柔らかい声。オレを心底愛おしいと言わんばかりの優しい声。安心できるしっかりした体。
     異国の地に行ってしまった類の姿がありありと思い出される。もう、一緒にはいられないと、そのぬくもりを手放そうと決めたはずなのに、もう類が恋しくてたまらない。
    「司くん、ちょっと上を脱いでもらってもいいかな」
     うつむいたまま顔を覆って、ぐっと涙をこらえる。……よし、大丈夫。オレは半袖のTシャツと肌着を脱いでみせた。
    「後ろ向いて」
     言われるがまま背中を向ければ、先生はほうっと安心した様に息を吐いた。
    「ありがとう。もう服を着てもらって大丈夫だよ。……君が暴力を振るわれたりしていないかとちょっと心配だったんだけど、違ったみたいで安心したよ」
     なんでだと思ったが、直ぐにオレが類を優しいと言ったからだと察する。きっとオレが類のことを庇った可能性を考えたのだろう。
    「それじゃあ、どういう経緯で今に至ったか、教えてくれるよね?」
     浮かべられた笑顔が怖い。オレはぽつぽつと、類と付き合ってから今までの事を先生に話して聞かせた。
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