お前が大切な人といる為に、俺が代わりに彼らを殺そう。――思い出したのは、直前だった。
「トノ、早くしろよ」
「はいはい。分かりましたよ、お姫様」
「おい、本当に大丈夫なのかよ…」
「だいじょーぶだってー」
ガチャガチャ、とチェーンカッターを片手に鎖に向き合う三人の少年。
その中心にいた俺は、バチン、と鎖を絶った瞬間に呼応するかのように思い出した。
後悔だらけで、その一生を復讐に費やしただけの人生だった。
そう、あの日も俺とカズ、場地の三人で忍び込んだバイク屋。
そしてあの時も、鎖を絶った後に聞こえたのは、
「なんだ、ドロボーか?」
店主の声。
マズイ、と思った。
瞬間、カズが店主の後ろに回った。
「だ、め…、」
振りかぶったのは、俺が持ってたはずのチェーンカッター。
ダメだ。
店主の正体に気付いた場地がカズに制止の声をあげるのが聞こえた気がした。
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