「魔法の時間終わらないで」「紡さーん、そんなとこで寝てると風邪ひくぞー。」
夜中眠れず、水でも飲もうかと思い共用スペースに行くとマネージャーがソファで
すやすやと眠っていた。
眼鏡をかけていない状態の俺は、ほとんどのやつが知らない。メンバーでも知っているのはごく僅かだ。
「大和さん、こんな夜遅くにどうしましたか?」それは俺のセリフだ。流石に部屋にかえって着替えるだろう。ジャケットを脱いだまま、シャツのボタンが二つほど空いている状態はこの時間よろしくないと思うんだが。
「マネージャーこそ、こんなところで寝てたら何されるかわからないんだから部屋に入って寝ないとだめだろ?お兄さんもそれなりに男の子してるんだけど、やっぱりこの時間はその姿見るのちょっと冷や汗かいちゃう。」
時計の針を見つめぼーっとしている彼女は気づいたようで
「ごめんなさい!!!もうこんな時間になっていたなんて!少し仮眠とろうと思ってソファに寝そべっていただけなんです」
「働きすぎだよ、全く。お兄さん心配しちゃうから部屋まで送るよ」
「自分で行けますから…。ご心配おかけしてしまい申し訳ないです」
「何があるかわからないから、一応な送るよ」
「はい…わかりました」
実を言うとこの時間だけわがままになっても良いんじゃないかとよぎってしまった。いつもはみんなのお兄さんしてるけど、恋心ぐらい俺にだって持ち合わせている
普段見せないだけで。
「その格好じゃ寒いだろうから俺の上着羽織な」
この時間はもう秋といえど肌寒い時間帯。女の子に風邪引かせちゃ社長に何言われるかわかんないしな。
まだ眠いのか彼女は、俺のシャツの裾を掴みながら
「まだ一緒にいたいです….だめですか?」
一瞬で時が止まったかと思った。だって恋焦がれている女の子に言われるともわない言葉だったから。良いのか?自分に素直になったって。
「少しだけな?あったかいココアでも淹れてやる、だからちょっと待っててな?」
彼女の頬にキスをした。そうだここは夢の世界。彼女との魔法の時間。