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    アキラ

    一次創作メイン

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    POIPOI 34

    アキラ

    MOURNINGテキスト投稿テスト分かれ道にて


    「右よ!」
    「いいや、左だね」

     分かれ道の真ん中で、少女と少年が向き合い、言い争っていた。
     少女は目尻がややつり上がった大きな目を更につり上げ、細い腰に両手を当て、聞き分けのない子供に言い聞かせようとでもするように身を乗り出す。
     顎の線でふっつりと切った華やかな濃い金髪がふわふわと巻き上がって横に広がり耳を覆っているが、尖った耳朶の先がちょんと髪から突き出ていた。

    「いーい、ミー坊。ワタシはミー坊のママがそのまたママのお腹にもいなかった時からこの世界にいいるのよ。黙ってお姉さんの言うことを聞きなさい」
    「ミー坊っていうな! ミーミルだっていってんだろ! だいたいクランベリの言うことで正しかったことなんて今まで1回でもあったかよ!」

     言い返すのはそろそろ青年になりつつある年頃の少年だった。やや細身ながらも健康に成長した体は将来性を感じるが、今の時点では少女より少しだけ上背が勝る程度で、明るいさらさらした栗色の髪や大きめのヘイゼルの目がなるほど「坊」と言いたくなる雰囲気を作っていた。
     少女は若草色の瞳を細くし、顎を上げて少年を見下ろすように体を反らす。

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