たからもののはなし 子供の身体は弱かった。
刀剣男士と比べても、同じ年の頃の人間と比べても、子供より幼い人間と比べても弱かった。
生まれたときから始まった戦いだ。
保育器の中で管と人々の手で命を繋がれ、親と自宅で暮らせるようになっても様々な困難があった。歩けるようになっても、外へ出ることはおろか清潔に保たれた空間以外で長時間過ごすことが難しく、屋内の決まった範囲で過ごすことが多かった。その中で最も多くの時間を過ごすのは布団の上であった。一度咳が出るとケンケンと喉が鳴り続けて、体力が尽きれば熱を出して寝込んだ。発熱して滲む汗までもが柔い肌を苛んだ。
あまりに弱くも懸命に生きようとする子供の肉体には、代謝する人間の肉体そのものが刺激となるため、肉親も気軽に触れ合うことすら儘ならなかった。
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