女と女のあれやそれ 13と919とともに、オレはMIDICITYでそこそこ有名な銭湯にやってきた。黒船の浴室に不満はないが、たまには気分転換に知らないところへ行きてェ、と言ったら13から紹介された場所だ。性別で分けられた暖簾を見て少し寂しさを覚えたオレは「一緒に入ろーぜ❤️」と誘ったが男二人に断られてしまい今に至る。
女湯と書かれた赤い暖簾をくぐるとそこには開放感のある脱衣所があった。そこで大人しく身につけていた服と下着を脱ぎ、小さめのタオルを一枚持ってシャワーが設置されたところに腰掛ける。
身体を濡らしてからシャンプー、コンディショナー、ボディソープの順番で髪と身体を洗い、全て流して泡がなくなったところでようやく乳白色の湯船へ入ろうとした。
ふとそこへ見慣れない、それでいて誰かに似た風貌の女がいた。濡れた金色の髪を頭上でお団子にまとめ、豊かな乳房が湯船にぽっかりと浮いている。へェ、おっぱいってデケェと浮くんだな。そう考えながらチラリと自分のささやかな胸へ目線を下げた。
すると女の方もこちらに気づいたようで、グリーンの瞳がこちらを射抜いた。
「ほぉ、おぬしはもしや……」
「Hey! ハジメマシテってやつだな。オマエは確か……919のねーちゃんか?」
「おぬしか、ワシのかわいい弟を誑かした不埒なアバズレ女は」
「ハハッ言うねェ! いやァ、傍から見たらイイ女かと思ったが……ウブなバージンの匂いがするぜ、オマエから」
「そういうおぬしは貧相なカラダにそぐわぬ遊び人のようじゃな」
……女と女の戦いである。151自身は全くそういう気はなかったのだが、相手が威嚇をしてくればそれに乗るのが151という女だ。金色の髪をした女らしい体型を纏う女は、誰もが羨む豊かな乳房を湯船に浮かべており、立ち上がれば細くくびれた腰に丸みを帯びた臀部が見えた。
対する151は僅かな膨らみと緩やかな腰のラインに、小さく引き締まったヒップが少女めいた可愛らしさを感じさせる。
ふと金髪の女が151ににじり寄ってきた。女の魅力を見せつけるかの如くどん、と151の胸にそれを押し付けている。151もそれに対抗して、自分の胸を女に押し付けて、火花を散らす。二人の女の身長差はあまりなくほぼ一緒だ。
「フン、凱循もきっとワシのような完璧な身体を持った女がいいと思うておるに違いないわい……可哀想にのぅ」
「せっかくカラダはイイ女なんだからよォ、然るべきシーンで使えなきゃ意味ないぜ?」
そこからしばらく無言で睨み合っていた女たちだが、外野がいる状態で大騒ぎになるのは後々面倒になる。それを理解していたのが幸いか、ふたりはそそくさと浴室を後にして脱衣所へ向かった。
金髪の女は清楚な印象を与える白い下着を身につけた。フリフリとした可愛らしい飾りはその女によく似合っている。胸のたわわな肉は、しっかり下着に支えられている。
——うさぎの女の方は、彼女の豊満な身体が少しだけ羨ましいと思った。
赤い髪の女はセクシーな黒い下着を身につけた。シンプルで無駄のない布の面積は小さすぎず大きすぎず、女の白い肌に映えている。小さな乳房は黒いブラジャーで優しく包まれていた。
——狛犬の女の方は、彼女の慎ましやかな身体が少しだけ羨ましいと思った。
続きは後で、と互いにアイコンタクトを送った女たちが赤い暖簾をくぐり、男女共用の銭湯の休憩室に足を踏み入れた途端、151の連れである男性陣13と919を見つけた。