風邪っぴき小話集・藍良ver
「うぅ、全身が痛いよォ」
2段ベッドの下で身体を丸めているのは、発熱で真っ赤に頬を染めた藍良。
体調不良を訴え始めたのはつい先日の事だった。久しぶりに学校へ行こうと身支度をしていると、スマートフォンが小さく震えた。
『今日学校行けないかも』
そこには藍良からのメッセージ。
秋口はまだサボり癖が抜けきれていなかったが、段々と学級に馴染め、最近は仕事のない日は一緒に登校することが常であった。
『具合悪いの?』
『なんか身体が重くて、ちょっと気持ち悪い』
『大丈夫?』
『多分寝てれば大丈夫。ヒロくんは学校いってらっしゃい。』
『そっち行かなくて大丈夫?』
『大丈夫』
文面からもいつもの元気が感じられない。今すぐに駆けつけたい衝動に駆られたが、具合が悪い時は1人で静かに過ごしたいのかもしれない。後ろ髪を引かれながらも1人で登校した。
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