俺は生まれた時から神だった。
父親がそうであったのだから当然だ。
俺は別に選んでそうなったわけではない。勿論選ばれたわけでもない。例え片親が人間であったとしても、神の血を継いだらそう生まれるのはこの世界の摂理なのだから。
だが、俺より数年後に生まれた弟は違った。母親と同じ、なんの力も持たないただの人間だった。
まあ実際はただの人間よりは頑丈だったようだけれど、それでもなんの権能も持たない、見た目ですら全く神の特徴を持たぬ弟に父親はどうやら落胆したようだった。そして早々に弟を見限った彼は俺の教育に心血を注ぎはじめた。
母親はそれを憐れに思ったのだろう(少なくとも慈愛の心だけが動機だとは到底思えなかった)、一生懸命弟を慰めていた。
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