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    kknttu_a3

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    kknttu_a3

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    夏の深夜にコンビニに行くひそほまの話です
    も〜〜着地点がわかんなくなっちゃったから供養!
    気に入ってるところまで

    「…………」
     八月。深夜二時。ねっとりと湿った空気に、じっとりと汗ばむ肌。どうにも寝付けなくて、布団から体を起こす。向かいのベッドを覗くと、こんな部屋でもすやすやとよく眠っている同居人の顔が見えた。しかし、こころなしか、少し寝苦しそうだ。
    「……ひそ…くん、ひそかくん」
     寝起きで舌もよく回っていない。独り言にも聞こえるその呟きは、空に漂って消えてしまった。
    「密くん……密くん」
     なんとか気付いてもらおうと名前を呼びながら、柵越しに頭をぽんぽんと叩く。
    「……ん………何………」
     絞り出すような声。もぞもぞと寝返りを打って、薄いバスタオルに顔を埋めてしまった。
    「どうにも寝苦しい夜だね、密くん」
    「…………」
    「一緒にコンビニに行って、アイスでも食べないかい」
    「一人で行ってくればいい……」
    「君とがいいのだよ。……嫌かな」
    「……嫌とか、言ってない」
    「そうかい」
     誉はベッドを降りると、寝巻きからラフなTシャツに着替えて、ベッドから這い出ようとする密の手を取りベッドから下ろした。密も簡単に着替えてしまうと、部屋を出て、サンダルを履いて外に出た。
     頬を撫でる風は生温く、あまり心地良いものではなかったが、それがまた「八月」という季節を感じさせた。
    「あまりくっつくと暑いだろう」
    「嫌?」
    「……嫌とは言っていないよ」
     誉に寄りかかりながら歩く密は、今にも寝落ちてしまいそうだ。手を握って歩き出すと、そのうち自然と指が絡み合う。
     薄暗い歩道。人気のない夜。見えてきたのは、やけに明るく目立つコンビニ。自動ドアをくぐると誉がアイスのコーナーへと急ぐので、密は引きずられるようにしてそれに付いていく。
    「どれも魅力的で目移りしてしまうねぇ」
    「…………」
     カラフルなパッケージが、規則正しく並んでいる。二人の他に客はおらず、冷房の音と誉の声がよく響いた。
    「……これ」
    「おや、君がマシュマロ以外のものを自分から選ぶなんて、珍しい」
     密が手に取ったそれは、半分に割って二人で分けられるアイスだった。誉がレジに持っていって、ズボンの後ろポケットからカードを取り出す。ピッと精算して、ペッとアイスにシールが貼られて、誉がアイスを受け取って、軽く微笑み店員にありがとうと言ってレジを離れた。横でそれをじっと眺めていた密は、自分にはできない芸当だなと思った。
     店員の声と一緒にコンビニを出て、パッケージを破こうとしたところで、誉は今までずっと手を繋ぎっぱなしだったことを思い出した。片手ではアイスの袋を開けられない。
    「……密くん、ちょっとだけ手を離してくれないかい?」
    「………」
     アイスの為なら仕方ないと、密は渋々手を離した。目はアイスに釘付けだ。
     誉は空いた手を使って、パッケージを破いてゴミ箱に捨てた。アイスをパキッと二つに割り、片方を密に渡す。密は受け取ったアイスをじっと見つめて動かない。
    「……食べないのかい?」
    「柔らかくなってから、食べる」
    「そんなに待たなくても、この気温じゃすぐに溶けてジュースになってしまうよ」
    「………」
     汗をかいているアイスをまたじっと見つめてから、もそりと咥えた。
    「……美味しい」
    「夏の深夜に食べるアイスは、背徳感があって、みんなで寮で食べるときとは違った味わいがあるね」
    「……うん」
     両手でアイスを持っている誉の手を、密が片方無理矢理剥がして自分と繋いだ。誉は驚いてからふふっと笑った。
     片手にアイス、もう片手に恋人。密は、両手に花な気分だった。
    「もう帰るの」
    「そうだねぇ。少し散歩でもしていこうか」
    「……うん」
     それから二人は、コンビニを離れて、夜の街を歩いた。人気の無い、暗くて静かな街は、二人のためだけに用意された広い広い舞台みたいだった。
    「こんなにも不快な暑さなのに、君と居ると不思議と心地良いよ」
    「オレは嫌」
    「む! 心外だね」
    「………暑いのが嫌なだけ」
     公園のゴミ箱にアイスのゴミを捨てた。密がフラフラとベンチに座ると、誉もその横に腰掛けた。
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