自由なる人々よ 準備号『人間の定義』
レオ×モブ♀
彼と初めて会った時、抱いた感情は恐怖だった。
それまでリベラルな家庭で人権意識の強い両親に育てられ、ソーシャルワーカーを目指して大学院まで進み、新しく社会に参画したミュータントに対しても偏見はないと、自分では思っていたのに。
恐怖はいとも簡単に築き上げていたもの全てをひっくり返してしまった。
その日イザベラは課外活動で軍事施設のボランティアにきていた。
運が悪かったのはたまたま任務帰りの軍人でごった返しており、そのうちの誰かとぶつかり弾き飛ばされたこと、その弾き飛ばされた先が階段であったこと。
浮遊感に囚われ世界がスローモーションに変わる。屈強な背中に挟まれて一緒にきていた同期が手を伸ばしているのが見える。
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