Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    9660moyunata

    @9660moyunata

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 19

    9660moyunata

    ☆quiet follow

    年後ローレンツがクロードについて考えているだけの短文。オチも何も無い。

    ##風花
    ##クロロレ

    その空は青かった。
    白い飛竜とクロードは僕の遥か上空を飛んで行った。長い間それを目で追い続けていたので、地上に視線を戻した時もそのシルエットが視界に残ってどこまでも付いてきた。

    僕はクロードを信用していない。長期間に渡って監視したからあいつの事はよく知っている。あいつには何か隠し事がある。普段から胡散臭いやつだが、蔵書を漁りにこそこそしていたり怪しげな薬の開発に精を出していたりだなんて、そんなちっぽけな話ではない。とんでもない秘密があるのだろうと僕にはわかるのだ。
    しかし、信用はしていないが信頼はしている。人をからかうようなことはするが、悪意と言うようなものは無く、あくまで悪戯程度のことだ。いや、僕の燕尾の先端を捲りあげて鎧の隙間にねじ込むのは本当にやめて欲しいと思っているのだが。何故人に気付かれずに行動するのがあそこまで上手いのだろうか。クロードが後ろを通り過ぎ、もしやと振り返る時に限って何もされていないのだ。尻がどうかしたのか? とニヤつきながら話しかけてくるのは非常に腹立たしい。
    あぁ違う、そんなことを考えようと思っていたんじゃないんだ。クロードが隠し事を続けるのは僕に信用か信頼のどちらかが、はたまた両方が無いからなのだろうか。打ち明けてもらえないことに対するこの感覚はなんだろう。悲しいのか怒りなのか虚しいのか寂しいのか、この心臓に石を詰めたような心地の名前を僕は知らなかった。

    再び空を見上げる。そこにあった彼の姿はとうに消え、代わりというように小さな白い雲がぽつりと浮かんでいた。
    その雲は動かない。彼を捕まえるができずに取り残される自分と似ているような気がして、ふっと短く息を吐いた。また地上に視界を戻した時、こちらが自分の世界なのだろうと感じる。
    長く伸ばした真っ直ぐな髪が、ばらりと顔にかかった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏👏👏👏👏👏💘💘💘💘💘💘🙏🙏🙏🙏🙏🙏🌹🌹🌹🌹
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works