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    9660moyunata

    @9660moyunata

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    年後ローレンツがクロードについて考えているだけの短文。オチも何も無い。

    ##風花
    ##クロロレ

    その空は青かった。
    白い飛竜とクロードは僕の遥か上空を飛んで行った。長い間それを目で追い続けていたので、地上に視線を戻した時もそのシルエットが視界に残ってどこまでも付いてきた。

    僕はクロードを信用していない。長期間に渡って監視したからあいつの事はよく知っている。あいつには何か隠し事がある。普段から胡散臭いやつだが、蔵書を漁りにこそこそしていたり怪しげな薬の開発に精を出していたりだなんて、そんなちっぽけな話ではない。とんでもない秘密があるのだろうと僕にはわかるのだ。
    しかし、信用はしていないが信頼はしている。人をからかうようなことはするが、悪意と言うようなものは無く、あくまで悪戯程度のことだ。いや、僕の燕尾の先端を捲りあげて鎧の隙間にねじ込むのは本当にやめて欲しいと思っているのだが。何故人に気付かれずに行動するのがあそこまで上手いのだろうか。クロードが後ろを通り過ぎ、もしやと振り返る時に限って何もされていないのだ。尻がどうかしたのか? とニヤつきながら話しかけてくるのは非常に腹立たしい。
    あぁ違う、そんなことを考えようと思っていたんじゃないんだ。クロードが隠し事を続けるのは僕に信用か信頼のどちらかが、はたまた両方が無いからなのだろうか。打ち明けてもらえないことに対するこの感覚はなんだろう。悲しいのか怒りなのか虚しいのか寂しいのか、この心臓に石を詰めたような心地の名前を僕は知らなかった。

    再び空を見上げる。そこにあった彼の姿はとうに消え、代わりというように小さな白い雲がぽつりと浮かんでいた。
    その雲は動かない。彼を捕まえるができずに取り残される自分と似ているような気がして、ふっと短く息を吐いた。また地上に視界を戻した時、こちらが自分の世界なのだろうと感じる。
    長く伸ばした真っ直ぐな髪が、ばらりと顔にかかった。
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    MAIKING「説明できない」
    赤クロと青ロレの話です。
    4.遭遇・下
     犠牲者を一人も出すことなく野営訓練を終えて修道院に戻ることが出来た。ローレンツのほぼ記憶通りではあるが異なる点がある。ベレトが金鹿の学級の担任になったのだ。正式に採用された彼は既に士官学校から学生の資料を貰っている。だがグロンダーズで行われる模擬戦を控えたベレトはここ数日、放課後になると学級の皆に話を聞くため修道院の敷地内を走り回っていた。

     ローレンツはあの時、模造剣を配ろうとしたのは何故なのかとベレトに問われたが予め野盗達に襲われているのを知っていたから、とは言えない。言えば狂人扱いされるだろう。

    「歩兵の足が早すぎたからだ。補給部隊が本体と分断されたら敵に襲われやすくなる」

     食糧がなければ兵たちは戦えない。敵軍を撤退させるため戦端を開く前に物資の集積所を襲って物資を奪ったり焼き払ってしまうのは定石のひとつだ。ローレンツの言葉聞いたベレトは首を縦に振った。

    「それで足止めして予備の武器を渡したのか。装備をどうするかは本当に難しいんだ。あの場合は結果として合っていたな。良い判断をした」
    「ありがとう先生。そう言ってもらえると霧が晴れたような気分になるよ」

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    MAIKING「説明できない」
    赤クロ青ロレの話です。
    14.誘拐・下
     ローレンツとクロードの記憶通り事態は進行した。一つ付け加えるならばクロードがセテスにちょっかいを出したことだろうか。見当違いだと分かっていることを敢えてセテスに聞いたら先方が何故か安心した、とクロードから聞いてローレンツは眉を顰めた。やはりセイロス教会は何かを隠している。五年前から問題視していたクロードが正しかった。だがそれは大乱を起こす理由になり得るのだろうか。クロードは元から英雄の遺産と白きものについて探っていたがそれに加えてエーデルガルトが檄文で言及していた教会の暗部についても調べ始めた。

    「先に掴んで暴露してしまえば檄文自体無効になるかと思ったがそんな都合の良い案件は見当たらなかった。敢えて言うならダスカーがらみか?」
    「だがあれも機能不全に陥った王国の要請がなければ騎士団が担当することはなかっただろう」

     エーデルガルトが見つけたと称するセイロス教会がフォドラの全てを牛耳っている証拠とセイロス教会の秘密は同一なのだろうか、それとも違うのだろうか。探さねばならないものが増えてクロードは大変そうだ。大変そう、と言えばベレトも大変そうだ。彼は修道院内を丹念に探 2099