こんぽん🔥🎴♀わぁ、と歓声があがった。喜びに目を輝かせる誰もの頭の上にはひこひことした茶色の半円型の獣耳がついており、腰の辺りからはぷわんとした丸っこい茶色と黒の尻尾が生えていた。そしてそのどれもが喜びのあまりふかふかと左右に揺れている。歓声の中心には未だぐったりと葵枝が寝転がっており、葵枝の頭と腰にも同じものがついている。その横には
「がんばってくれてありがとう、元気な子だ」
と身体中汗まみれの葵枝を労うようにして額を撫でる雄狸―…炭十郎がいた。炭十郎の手のぬくもりと聞こえてきた「ふみゃあ」という幼い鳴き声に葵枝はほっとしていた。
葵枝の初産の介助をしていた雌狸は嬉しそうに生まれたばかりの子狸を布にくるむと「葵枝様、元気な雌狸…」と口にしたところで「あ!」と声を上げた。その声に子の誕生に浮かれていた周囲の者たち全員がなんだなんだと子狸を覗き込むと
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