『月の騎士』太陽国
太陽が輝くような白の国、
そんな国で二人のかわいらしい双子の子供が産まれた。
「やはり、双子でしたのね」
「クーヌス……」
クーヌスと呼ばれた白く雪のように美しい王女は、己の騎士である白衣の騎士オルトスから産まれたばかりのかわいい双子の愛おしい我が子達を受け取る。
「わかっているわ、王座は一つ
双子のどちらかは影にしかなれない。
わたくしも貴方という私だけの騎士を見つけてしまった時に、覚悟はしていたのよ」
「……」
オルトスは、無言でゆっくりと双子の髪を愛おしくゆっくりと撫でる。
鏡でも合わせたようにそっくりな双子。
太陽のように輝く金色の髪、まだ閉じられた瞳は同じ色を灯しているだろう。
この太陽国では"必ず"双子が産まれる。
そして、"必ず"片方は死ぬ。
運命のようなこの"必然"はクーヌスも体感してしまっていた。
彼女も、そして、その前も、その前の前の王女達も王子達も双子として産まれ、片方しか生き残れない。
だからこの国の王は決めなければいけないのだ。
どちらが太陽になるかを。
決めた瞬間、双子の片方に王とその王の騎士にしか視認できない一つしか与えられない太陽の加護が与えられ
片方は必ず生き残る。
片方は必ず死ぬ運命が決まる。
「ルイス・スミス……それがこの子達の名前よ」
「クーヌス、君の心を必ず守ろう。」
その瞬間、同じ名前、同じ容姿、違う運命が決まる。
「ありがとう、オルトス」
「さあ、今日はもう疲れただろう」
「そうね……スミスを頼むわ」
太陽は名前で、影は名字で呼ぶことが決まっている。
片方が死のうとも、片方はその片方の心で生きていると覚えている為に。
「命に代えても」
「あら、貴方の命はわたくしのものよ」
「そうでした」
二人は笑いながら愛おしい双子の男の子の額に軽くキスをした。
月日は流れ、双子はぐんぐんと大きくなり、双子は母や父がそう呼ぶように片方をスミス、片方をルイスと呼び、退屈な座学をスミスに変わってもらい城の外、つまりは城下へと遊びに行ったり
二人はその似た容姿を利用して、時折入れ替わって遊んでいました。
なぜかスミスが城から抜け出そうとすると父であるオルトスがぴったりと影のように付き、「おまえは外に行ってはいけない」と口酸っぱく言われて「「なんでだ?」」と双子が聞いても誰も何も教えてくれませんでした。
そんな双子も青年と呼ぶにふさわしい鍛え上げた体躯になり、隣国の王女が1ヶ月逗留することを記念し、仮面舞踏会が催されることが決まり、ルイス・スミスの運命が動くこととなるとも知らずに。
◇
「スミス、頼む!」
「またか、ルイス……」
鏡合わせのような双子の美青年は同じ容姿をしたルイスに両手を合わせられてお願いされていた。
「ヒロに城下の祭りに誘われたんだ」
「……もう約束したのだろう?ならば行くべきだぞルイス」
「さっすが、わかってるなスミス!
お土産買ってくるな!」
「はしゃぎすぎて、スリに遭うなよ」
「わかっているさ!」
ルイスが飛ぶようにして、二人の秘密の抜け道に向かって走って消えた。
スミスは笑いながら、ルイス・スミスとなり黒の仮面を付け、仮面舞踏会へ足を向けた。
◆
月国
夜のように黒く、漆黒の国。
そんな国で漆黒の騎士達がルル王女護衛に向け最終確認をしていた。
「ヒビキはルル王女と馬車を共にし、警護せよ」
「はい」
ヒビキと呼ばれた黒衣の少女は緊張しながらもしっかりと応えた。
「ミユはヒビキ、ルル王女と馬車を共にし、馬達の体調や病気などのアクシデントに対応してくれ」
「はい、任せてください」
ミユと呼ばれた馬医はニッコリと元気よく応えた。
黒衣の騎士、リュウジ隊長は地図にチェスの駒を置き、配置を確認する。
「俺とイサミは黒馬に乗り、
俺が前でイサミは後ろを頼む」
「はい」
イサミは短くも強い声で応え、鍛え上げた二つの足でしっかりと立ち上がった。
「良し、他になにかある者は?
……無いようだな……再度確認する。今回の任務は、ルル王女の1ヶ月の太陽国逗留だ。
我々とルル王女の初の遠征だ。
そして、お付きのホノカ、ルルの騎士スペルビアも護衛対象と心得よ!
ルル王女の心も守ってこそ、真の騎士と心得よ!
我々は騎士だ。
守ると決めた者の心と身体を守り
最後まで共にあるために、行くぞ!!」
「「「はい!」」」
ヒビキもミユもイサミも頷きリュウジに応えるように各々の持ち場に付く。
紫衣の騎士スペルビアに導かれルル王女とお付きのホノカが馬車へと座る。
「みんな、今日からよろしくね」
ルル王女の明るい笑顔に皆、笑顔になる
「必ずやこのスペルビア、我が命に代えてもルルを守る」
「うん!ルル、おじさま信じてる!
いざとなればルルも必殺キックでおじさまと一緒に戦うんだから!」
少しお転婆で活発な少女、ルル王女を乗せた馬車は太陽国へとゆっくりと向かった。
旅は順調に進み、太陽国へと到着したイサミ達。
ミユは黒馬達を世話する為に、イサミ達と別れ、仮面舞踏会の仮面を配りリュウジは持ち場を再度確認する。
「俺とヒビキはルル王女とスペルビアの護衛。
イサミは外の巡回を頼む」
「良いんですか?」
「イサミ、ああいうとこ苦手だからね」
ヒビキが茶化すようにして、イサミの肩をポンポンと気にしないでと叩く
「ああ、それにパーティーに参加する護衛人数は二人までと言われてな
丁度良いだろう」
「イサミの分のご馳走は私が食べておくね」
「そこは俺の分も取っておいてくれよ」
「それは、護衛役の特権だから諦めろイサミ」
リュウジも笑いながら冗談を言い、リラックスしながらも真剣な表情に変わる。
「……イサミ、もしも害敵が来るとしたら外からだ。
気をつけろ」
「はい」
リュウジ、ヒビキ、イサミの三人で味方のいないルル王女を守らなければいけないのだと鋭く光る眼差しで真っ直ぐに暗くなった外を睨み、各々が各々の持ち場へと向かった。
◇
ルイス・スミスらしく、月国のルル王女と業務的に一曲終わらせた早々と抜け出したルイスは一人で風に当たる為に城内で二人だけが知る森の泉へと足を向けた
「……少し、水でも浴びるか」
黒の仮面はそのままに一枚、一枚と脱衣しながら木の枝に掛け、白く鍛え上げた肉体を外気に曝し、ほっと一息つく。
少し汗ばむ陽気の太陽国。
スミスはゆっくりと泉の水へと足を入れズンズンと泉の中心へと向かう。
泉の冷たく、肌に突き刺すような冷たさを感じるのがスミスは好きだった。
ルイス・スミスの影ではなく、ここに確かに自身が確かに存在しているのだと感じられて。
城でのスミスは、いないも同然だった。
ルイス・スミスはいるが、スミスはいないのだ。
同じ物を与えられ、同じ名を与えられ、違う生活をルイスと楽しく入れ替わりながらもスミスだけの特別は与えられることはなかった。
それを羨ましいと思う心さえなかった。
もしや、自身の心は鋼鉄で出来ているのでは?とスミスは思いそれを確かめる為にこの泉に入ってみたのがそもそもの始まりだった
今では、この泉の冷たさを知っているのはスミスだけだという特別感から夜な夜な泉に入るのが日課になりつつあったのだ。
パキリ
「誰だ!」
瞬間、スミスの心臓が爆発するように弾けた。
月夜の暖かな光を背に美しく、力強く二本の足でしっかりと大地に根を下ろすかのような黒衣の騎士。
スミスのエメラルドグリーンの特別な瞳には確かに見えた。
……その黄金の魂の輝きが……
「くちゅん!」
かわいらしい、くしゃみをしたことでスミスは現実に戻る。
「大丈夫か?」
「だい……くちゅん!……いつもならこんなに寒く感じないのだがっ……
くちゅん!今日は一段と寒いな」
いや、違う。
スミスの心臓が爆発するようにドンドンドンと全身に熱を送り、今まで感じなかった冷たさや寒さを感じるようになったのだ。
「とにかく早く上がって来いよ風邪引くぞ?」
「ああ、そうだな……くちゅん!」
スミスは手早く服を着るがそれでも泉で芯から冷えた身体が寒いと震える。
「ほら、これも着とけ
あと、ついでにこれで鼻拭け」
黒衣の騎士は躊躇無く外套を脱ぐと、スミスに着せ、さらには白い刺繍のしてあるハンカチで甲斐甲斐しく世話をしてくれる。
「ああ、ありがとう……イサミ、というのだな
このハンカチは後で洗濯し、
君に返そう」
スミスは大切な物を確認するように白いハンカチに刺繍された名前を確認し、自身さえ自覚のないまま微笑む。
「そんなたいした物じゃねえからやるよ
……俺が刺繍したやつだしな」
イサミはそっぽを向きながら恥ずかしそうに頬を掻きながら言う。
「そんな物を俺に!?」
「男の俺が刺繍した物がなんでそんなに嬉しいんだよ?
……変わった奴だな」
イサミが花が咲くようにふわりと笑い、スミスの視線を釘付けにする。
「初めてなんだ、俺だけの物が贈られたのは」
「そうなのか?」
「ああ、だからありがとうイサミ」
スミスも初めて太陽のように笑いイサミの視線を釘付けにする。
「くちゅん!」
スミスのかわいらしいくしゃみでまた現実に戻る。
「冷えたんだな、早く戻った方が良いんじゃないか?
おまえも仮面舞踏会に参加していた奴だろ?
あっちなら暖かかっただろ?」
「イサミは?」
「俺か?俺はまだこの寒空の下で怪しい奴がいないか護衛をしなくちゃいけなくてな」
スミスはそれでようやくイサミがルル王女を護衛していた黒衣の騎士達と同じ衣裳を身にまとっていたことに気づく。
「ならばそれまでイサミと一緒にいても良いだろうか?」
「……は?……まあ、俺は良いが……
寒いんじゃないのか?」
「寒くない!……くちゅん!
寒くなんてないぞ!……くちゅん!」
明らかに鼻を真っ赤にし、寒そうに身体を震わせるスミスをみかねたイサミはそっと、スミスの側に寄り添う。
「イサミッ!?」
「なんか知らねえがあっちにおまえも戻りたくねえんだろ?
なら一緒にいてやるよ」
「イサミィ……」
「……そういえばおまえ、名前は?」
「俺は……俺は……」
ルイス・スミスと答えたくなかった。
それは自分ではなかったからだ。
ルイスでもスミスでもない、この出逢いは自分だけのものにしたかった。
心臓が爆発するようにイサミの側にいるだけでスミスの内で爆音を奏でているのを感じる……ならばと、スミスは決める
「俺の……私の名前は……ブレイブ……バーン……ブレイバーンだ」
「なんだそれ?
……まあ、よろしくな、ブレイバーン」
明らかに偽名であるブレイバーンの名前を優しく微笑みながらもイサミはブレイバーンを包むように受け入れて握手してくれた。
それがなによりもブレイバーンは嬉しかった。
イサミと一緒にいるだけでブレイバーンの心臓は爆発するように生命の鼓動を熱く強く奏でた。
イサミとブレイバーンは肩と肩をそっと寄り添わせ、笑いながら仮面舞踏会という魔法が終わるまで、子供ように話し、ずっと昔からの友達だったのかと思うほどに楽しく話した。
「イサミ、また明日もここで、この場所で会えるだろうか?」
「ん、俺もまた会いたい」
「そうか!そうか!また会おうイサミ」
飛ぶようにイサミから借りた黒衣の外套をマントのように翻すブレイバーンを優しい顔でイサミは見送った。
□
「聞いてくれルイス!」
ルイスが帰宅するとスミスが勢い良く真っ直ぐに突撃して来たのだ。
「calm down、calm downスミス。
どうしたんだい?君らしくもないじゃないか?」
「私は今日、恋をして産まれたんだルイス!
私は今日からブレイバーンとしてルイスとイサミの前だけでも生きたい。
私は私だったんだとイサミが気づかせてくれたんだ!」
「そ、それは素晴らしいことじゃぁないかスミス!……いや、今日からはブレイバーンだったな!」
「ああ!私はブレイバーンだ!」
鏡合わせのような双子はクルクルと回りながら互いに喜ぶ
ようやく、ブレイバーンにも個としての欲しいものができ、ルイスのように自由な心を手に入れることができたのだから
城の外に出ることが叶わずにいた籠の中のブレイバーンが飛翔し、今、飛んだのだから喜ばずにはいられなかった。
「それでだな、ルイス、君に頼みがあるんだ」
「ブレイバーン!なんだ!?なんでも俺に言ってくれ!
今まで君にたくさん頼み事をして入れ替わってもらっていたんだからなんでもするさ!」
行事やダンスは面倒だからと、城下によく遊びに行かせてもらっていたのだから今度はルイスの番だと瞳を大きく輝かせて、ブレイバーンに聞く。
「イサミと一瞬でも良い……長く一緒にいたいんだ
……だから、難しいかもしれないがこの逗留期間の間だけでも私と入れ替わって欲しい」
「それは確かに難しいな……」
二人が入れ替わるのは忙しくなる行事やダンスの瞬間である。
いつもならその忙しさの間に、いつの間にか入れ替わっていた状態を作りそのまま父や母を黙らせていたが
それを賓客が来て四六時中、父であるオルトスの目が光る中、ブレイバーンと入れ替わるのは難しいのである。
「……俺に任せてくれブレイバーン」
「ルイス!」
「入れ替わるのは俺達の得意技だろ?」
「ありがとう!ルイス!」
「それはこっちの台詞だよブレイバーン
君が俺の代わりに俺をしてくれるからこそ、俺は友達ができて、この国を慕う国民を間近で見れて来れたんだから!
今度は俺の番だ!必ず君の恋のキューピットになってみせるさ!」
「ルイス!」
「ブレイバーン!」
今日から俺達は、ルイス・スミスとブレイバーンだとクルクルと回り笑いながらこれからの作戦を練る。
◆
「イサミそれで外套は見つかったのか」
リュウジはイサミに鋭く聞く。
イサミが言うには、風に拐われたとのことだが、明らかに昨日とは違う部下の目付きにリュウジは目ざとく気づき、詰問していたのだ。
「今日には見つかります」
「ははぁん、イサミ、やっぱりあんた素敵な人でも見つけて真夜中にランデブーとかしちゃってたんじゃない?」
幼なじみのヒビキの目は誤魔化せないとイサミは黙るしかなかった。
「……」
「してたんだな、イサミ」
リュウジからすいと目を反らすイサミはなによりも雄弁に"していました"と証言していた。
「帰ったら始末書だ」
苦笑いしながらもリュウジは、仕方ない奴だとイサミを許す。
かわいい弟分には甘いのだ。
「おはよう」
「「「おはようございます、ルイス・スミス王子」」」
太陽の光を集めたかのような艶のある金色の髪、エメラルドグリーンの瞳をキラキラと輝かせたこの国の第一王子であるルイス・スミスが現れたのだ。
「……しまった……まさか……どちらがそうなんだ?……」
なにやら呟きながら。
「どうかしましたかルイス王子?」
「いや、その……そうだ!
貴国の国にイサミという素晴らしい騎士がいると聞いたのだが、俺と対戦して欲しいんだが」
「だ、そうだがイサミ?」
「俺、ですか?」
「そうか、君が噂のイサミか!
確かに素晴らしい騎士だ!
ブ……ん"ん"ッ"……とにかく!俺と対戦して欲しい!
受けてくれるよな?」
ルイス王子が太陽のような笑顔で誤魔化しながらイサミに手を差し出す。
リュウジもヒビキもイサミも顔を見合わせ目だけで会話をする。
『……どうすんのよ、イサミ』
『どうするって言われても……』
『王子様のご指名だ、ルル王女も交えての観戦になるだろう』
『……そうなるよね』
「俺の挑戦を受けられないほどに噂の騎士様には"勇気"が無いのかい?」
「受けます」
リュウジもヒビキもそうなるよね、と小さな瞳に炎を灯し、即答するイサミを見て苦笑する。
こうして、この国の第一王子ルイス・スミスと月国の代表騎士として、イサミが対戦することとなったのだ。
「さっきの威勢はどうしたんだルイス王子?」
「い、いや、私がイサミと戦いたかったわけでは……いや、戦うイサミも素晴らしいのだが!」
イサミは首を傾げながらもやるからには全力でやれのリュウジ隊長流でルイス王子よりも早く動き、木刀を振るう。
「ッッッ!やはり、やはり!イサミは素晴らしいなッ!」
「ようやくやる気になったか王子様?」
「ああ!やるからには全力でやろうイサミ!」
まるで人が変わったかのように、ひまわりのような笑みを浮かべ、キラキラとエメラルドグリーンの瞳を爆発させるように輝かせ、ルイス王子がイサミに真っ直ぐに向かう。
■
そんな二人の対戦を観戦しながらルル王女はスペルビアとリュウジとヒビキでホノカが焼いたクッキーと紅茶を楽しんでいた。
「……あの王子、先ほどイサミに喧嘩をしかけていたルイス・スミス王子その人ではないな」
「そうなのおじさま?」
スペルビアは頷き、リュウジもやはりかと二人の対戦をもう一度見るが、やはり先ほどと何かが違うのだ。
「え?なんで?あっちから喧嘩ふっかけてきたのに逃げたの?」
ヒビキは疑問で首を傾げる。
「……なるほど……2時の方向だ」
スペルビアが言う方向を見れば、はるか遠く、影から豆粒のように"行け!そこだっ!"とヒーローショーを観戦するかのようにどちらも応援しているらしい、あのイサミに喧嘩を売っていたルイス・スミス王子がいたのだ。
「王子様が二人!?!?」
「しっ、声が大きいぞヒビキ」
リュウジに言われ、パッと口を塞ぐヒビキ。
「おそらく片方はこの国に伝わる影武者だろう」
「影武者に戦わせてるのには変わらないんじゃ……」
「いや、あれは違うと思うぞヒビキ」
リュウジは二人のルイス・スミス王子を見る。
どちらのルイス・スミスも楽しそうにイサミを見ている。
「……ま、イサミも楽しそうだし良いんじゃない?」
「ブレイブ斬!」となぜかルイス王子に同じ掛け声を強要され、たじろぎながらも子供のように楽しく笑いながら叫ぶイサミにヒビキもリュウジも笑顔になる。
皆が知らなかったことにしようと、二人のルイス・スミス王子をそっと見守った
◇
「ルイス!ありがとう!
この気持ちをなんと表現したら良いだろうか!
それほどにイサミとの戦いは私の心を熱く、熱く燃やし、楽しかった!
特にな!イサミの魂からの叫びはやはりかっこよかった!
……ああ、イサミ、私の魂の騎士……」
初めてこんなにも楽しそうに何かを語るブレイバーンにルイスはさらに笑顔になる。
「とにかく上手くいって良かったよ」