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    dokoka1011056

    @dokoka1011056

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    dokoka1011056

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    まぁ結局は全部、俺の物だ。

    #distortion
    #リクミキ

    プリズム 静かなラウンジに、ぱらりとページをめくる音と、さりさりとペンが走る音がする。交わらない視線。眼鏡を隔てた(王様が眼鏡かけてるところ初めて見た)王様の視線の先には、クリップで一纏めにされた書類。細かい文字を見ると眠くなる。
    王様を抱き枕代わりに膝に乗せて眠るリクは、穏やかに肩を上下させている。

    ドナルドとグーフィーは公務、カイリは王妃さまと買い物、リアは散歩で、この場にいない。真昼の静かの中、この部屋だけが、俺の世界だ。
    残ったのは、俺とリクと王様の3人。とは言っても、リクは現在夢の世界に旅立っている為、いないも同然だ。
    従って、今この部屋で意識を持ち存在しているのは、俺と王様だけだ。

    珍しいメンツだ、と思った。普段こんな風に、2人きりになったことが無い。王様がいるところには、高確率でリクかドナルドかグーフィーがいるし、俺は正直なところ王様がちょっと苦手だからだ。

    苦手というのは大袈裟かもしれない。王様は良い人だし、頼りになるし、誰にでも分け隔てなく接してくれる。ただ、友だちという呼び方では、いささかフランク過ぎる関係なのだ。

    そうゆう人と、2人きりで部屋にいる。

    いたたまれなくなった訳では無いが、折角の機会に、延々と沈黙を守り続けるのは、いかがなものだろうか。俺は、以前から気になっていた事を、問いかけることにした。

    「王様?」

    「ん?なぁに?」

    書類を見つめていた視線が俺を捉える。ずり落ちた眼鏡が、おじいさんみたいで、ちょっと笑うと、王様は少し恥ずかしそうに眼鏡を外す。

    「王様って普段何してるの?」

    唐突な質問にぽかんとした表情を浮かべる王様に、「プライベートじゃなくて、仕事の事」と補足説明を加える。
    うーん、と口許に手を当てて、考える王様を見ながら、俺は様々な想像を働かせた。王様の仕事、マスターの仕事。無邪気な性格や、可愛らしい見た目から、偶に失念してしまうけど、俺たちより、長い人生経験のある大人なんだな、と考える。
    身近な人の、知らない側面。わくわくしながら返答を待つ。何にせよ、その口から出てくるのは、易しい説明なんだと、信じて疑っていなかった。



    「…色々、だよ。」



    色々。その言葉の意味を飲み込むのに、コンマ数秒。結局、俺がとった行動は、疑問系でオウム返しをする事だった。理解はできても、納得は出来なかったからだ。

    「俺が子供だから教えてくれないの?」

    子供じみた反抗をすると、王様がふふふと目を閉じて笑う。馬鹿にされた様で、ムッとした気持ちが、露骨に顔に出る。
    王様が再び目を開ける。

    と同時に、部屋の彩度が下がる。窓のほぼ正面にあった太陽が、薄い雲に覆われて、輝きを失い、白い球体に成る。

    王様の顔にも影が落ちる。黒曜石の様な瞳と、ピンと張った糸で視線が繋がる。

    いつもの、暖かい光のように、心を照らし意図を汲み取るような、優しげな視線じゃ無い。ひんやりとした、無機質な黒い刃先が、心に切れ目を入れ、思考を暴くような視線。こんな表情も出来たんだ、と内心驚く。
    「けちー」と拗ねた振りをして席を立ち、「おやつ探してくる」と足取りを弾ませながらドアを開け、ぱたんといつもより強めに閉め、長い廊下を駆け抜ける。開放感が半端じゃ無い。地面をしっかり捉えて推進力を生み出す脚も、風をはらんで膨らんだジャケットも、俺がどれだけ”こちら側の世界”を渇望していたかを、如実に物語っている。

    前言撤回。大人の事情なんて、知るもんじゃない。おっかねーよ。














    ぱたんといつもより強めに閉じたドアの向こうから、遠ざかる足音。走るなっていつも言ってるだろう。

    「…いじわるだな。」

    「起きてたの?」

    嫌われちゃったかな?と心配そうな声音に、1時間もすれば忘れるさ。と、返答する。少々辛辣な評価に、君一応彼の親友なんだよね?と、おかしそうに顔を綻ばせる。友達であって保護者じゃ無いと一蹴すると、先程の会話を引き合いに出し、「ソラは可愛げがあったなぁ」と、暗に俺の性格の悪い所をからかわれた。

    ところでリク、

    ミッキーが眼鏡と書類をテーブルに置いて、膝の上で上半身をひねりこちらを見上げる。

    「この後ヒマ?」

    断る権利など、ない。






    嗚呼!なんて摩訶不思議!プリズムみたいに、綺羅綺羅と表情を変えて、今度は誰をいじめるの?本当は誰より、気まぐれな小悪魔。
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