ここにいるよ テディがその場に居合わせたのは、偶然以外のなにものでもなかった。なにしろ屋敷の女主人が玄関に姿を現したのは、彼女の帰宅予定よりずっと早い時間だったので。
「あ! 主様、お帰りなさいませ!」
平日の、日の高いうちに会えるなんてラッキー!
そんなふうに、テディが喜びに顔を綻ばせていられたのは、ほんの束の間だった。ぼんやりと彼の名を呼んだ主人が、くずおれるように座り込んでしまったからだ。
「主様!?」
慌てて駆け寄ったテディは、今にも倒れてしまいそうな体を支える。体調が悪いのではと考え触れた額は、案の定、燃えるように熱かった。
「ごめん……ルカスを呼んでもらえる……?」
弱々しい声で言った主人が、気だるげに息をつく。途中で苦しそうに咳き込んだ彼女の背を摩ると、テディはそのままぐったりした体を抱え上げた。
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