魈空らしきもの昼休みで賑やかな教室の、窓際にある空の座席。ひとつ前の椅子に魈が寄りかかり、持ってきた昼食を取り出していたところを見ると、やや眉を顰めた空が口を開いた。
「魈、お昼それだけ?」
「? ああ。いつもと同じだろう」
いつもと同じ、という内容はハムとレタスが挟んであるサンドイッチと、牛乳が入ったパック飲料。購買に残っていたものがそれしかなかった、ということは勿論なく、他にも選び放題だった。焼きそばパンにカツサンド、大きなメロンパンもあればおにぎりだってある。しかしそれらのいずれも選択せず、魈は今日も決まったメニューを選び、机に並べた。
「ねえ、もうちょっと食べた方がいいと思うんだけど」
「必要ない。これで十分足りている」
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