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    turb_shirotae

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    ひーす×前の賢者様のらくがき
    ※匂わせ程度のヒ→前賢

    「お前に恋人ができたら、どんなやつなんだろうな」
     そんな声にヒースクリフは顔をあげた。隣に座っていた男性がこちらを見ている。その顔は鮮明に見えなくて、まるで焦点が合わない時のような気持ち悪さを覚えた。
    「恋人、ですか?」
    「そう。ヒースはさ、良いところの坊ちゃんなんだろ? だからいつかお前も恋人作って結婚してってするんだろうなーって思ったら、そいつはどんなやつなんだろうと思って」
     そんな男の言葉にヒースクリフはそっと顔を逸らした。彼の言っていることはわかる。家を継ぐ貴族の嫡男として、いつかは妻をもらって子をなさないといけない。それでもまだ遠い先の話だと思いたくて、彼は黙りこんだ。
    「嫌だな、俺」
     男はぽつりと呟いた。その表情はわからないが、声色がほんの少し寂しげでヒースクリフは緊張した。
    「もし、ヒースが変な女に引っかかったら」
    「変な女?」
    「ヒースの顔しか見てないようなやつとか、家柄目的のやつとか? いや、貴族の結婚って家柄目的しかいないかもしれないけど」
     ヒースクリフの気のせいかもしれない。それでも彼は笑ったように見えた。
    「やっぱりさ、ヒースには幸せになってほしいし、ヒースのことをちゃんと見てくれる人と結ばれてほしいんだよな」
     男は伸びをする。いつもと比べてどこか寂しげで元気のない声に、ヒースクリフは胸を高鳴らせる。なぜこんなに緊張するのだろう。わけもわからずヒースクリフは男に手を伸ばそうとした。
    「ヒースは俺にとっても、大切な弟みたいなものだから」
     ヒースクリフの手は届かなかった。バレないようにそっと腕を下げて、俯く。どうしてかほんの少し、痛みを感じた。
    「俺が帰るまでにそういう話が出たら、紹介してくれよな! 安心してお前を任せられる相手か見極めたいから」
     ヒースクリフは一度だけ深呼吸をする。男の顔がますます歪んでいって、何も分からなくなった。そんな彼をじっと見つめて、ヒースクリフは頷いた。
    「はい。絶対に、賢者様には報告しますね」
     
    ――約束は、しなかった。
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