戦争映画大画面のモニターから土煙が舞う。時代を感じさせる白黒の世界、その画面の向こう側から息も絶え絶えに這い蹲る兵士が塹壕から銃を構えた。鋭い銃声が一面に鳴り響く。
敵を殲滅した兵士が生気のない目を携えたままゆっくりと立ち上がる。まわりを見渡し何かに気づく。遠くから乾いた銃声がひとつ。
それまでずっと彼を映していたカメラが、仰向けに倒れた彼の目線の先を辿るように大空を映した。皮肉なほど美しい。
ピッとエンドロールが流れる前にリモコンで消された映画は第一次世界大戦の異国の地に生まれたひとりの青年の人生を描いたものだった。リモコンを持ち上げた茨はそのつまらなそうな顔を一転させ、いつも通り貼り付いた笑顔を見せた。
「閣っ~下?んもう、レッスンの時間ですよ!ここ最近のブームは戦争映画なのでしょうが時間は平等に有限であります!ご趣味は程々にと口酸っぱくして言ってますよね!?」
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