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    秘みつ。

    @himi210

    @himi210 小説 / 毎日更新12:00〜21:00 / 凪茨右茨ジひジ▼感想質問お気軽に📩 http://bit.ly/3zs7fJw##ポイピクonly はpixiv未掲載ポイピク掲載のみの作品▼R18=18歳以下閲覧禁止▼##全年齢 for all ages▼連載一覧http://hi.mi210.com/ser▼連載後はpixivにまとめ掲載http://pixiv.me/mi2maru▼注意http://hi.mi210.com/guide▼フォロ限についてhttps://poipiku.com/19457/8988325.html

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    凪茨▼茨が凪砂に女をあてがう回。モブ女がしゃべります。

    ##凪茨
    ##全年齢

    茨が凪砂に女をあてがう回

     いやでもあたしはいばくんは凪砂のこと好きだと思うよ、と肩を叩いた。だって好きでもない奴のために毎日料理作らないもん、普通。
    「……そうなんだ。……でもそれも仕事だって云われた……。茨、仕事は手を抜かないから」
     はーそー、あいつそういう事云いそうだよね、笑顔が胡散臭いもんな。
     なんでベッドの上でこんな美形のお悩み相談してるのかっていうと、金もらってるから。突然アパートにサエグサイバラって男(こいつも顔が良い)(どっかで見たことある顔)が来て、顔をジロジロ見られた上前金三十万わたされて「これからある方とベッドで過ごしていただきたい、成功報酬は一束です」となんだかよくわからんこと云われながら連れて来られてここにいる。セックスすればいいのなら話は早い。本業だし。どんなジジイが出てくるのかと思ったらすごい美形が窓際で本読んでた。罪と罰。
    「……茨は?」
     なんだかよくわかってない顔でそう聞くから、お姉さんといいことしようねって誘ったけど泣いちゃった。泣く美形やばい。とりあえず座らせて慰めて話を聞いたら、どうやらいばくんにホテルに呼び出されたから二人で過ごせると思って楽しみにしてたんだって。
    「……茨に、想いが通じたんだと思ったんだ」
     話をよく聞くと、凪砂(風が凪ぐに砂の砂)はいばくんのことが好きで、ずっと好きで、この間やっとのことで告白して、付き合ってください、ていったんだって。めでたい。そう云ったら「それは閣下(かっか?)の勘違いですよ、俺は男ですよ、ちゃんと用意するから待っていてください」っていばくんが云った、と。何を用意するかわからなくて、今日になって、ここのホテルで待っていてくださいっていうから、ああそういう用意なんだなって、茨も自分が好きで、体を開いてくれるんだなって思って嬉しくて待っていたらあたしが来て、話は戻る。
    「……君を連れてきたっていうことは、茨は、私が君を抱けばいいって思ってるってことかな」
     あーそうですねー。えっちする?
    「……しない」
     まああたしもベッドで過ごせばオッケーだし。いやでもひどい話だね。告白されて別の女をあてがうとは。なんであたしなのかわからんけど。
    「……よく見たら君の目は少し茨に似ている。遠い血縁なのかもしれない。自分によく似た女性を探し出すのはあの子にとっては簡単なこと。……私は茨が好きなのに」
     あー、そういうこと。似てるか? 髪切れば似てるかな。
    「……私が君を抱いて、性欲を発散させて、それと一緒に茨への執着もなくなればいいって、そう思ってるのかな。君を好きになったら、この苦しい恋も、終わるのかな。私は茨の外見も好きだよ。でもあの子の言葉とか、仕草とか、息遣いとか、そういう魂に関わることのほうが、大事なんだ。だから、茨じゃなくちゃ、駄目なのに。……茨は、そう思ってない」
     じゃああたしを抱いても、なんも変わらないよな。凪砂はいばくんのことが大好きなんだね。苦しいね、つらい?
    「……うん、苦しい。茨を、抱きしめたい。でも、茨の心がわからない。私、どうしたらいいんだろう……」
     うーん、ちゃんといばくんを捕まえてさ、この件がすごくショックだったことと、それでも好きなことを伝えればいいんじゃないかな。いやこの件は普通にいばくんが悪いと思うんだけど。似てる別の女を出してくるとか最悪っしょ。なんかの漫画で見たぞ。源氏物語か? 違うか。
     凪砂はさ、いばくんにあたしにいったことぜーんぶ云えばいいとおもうよ。これだけ好きだって、多分いばくんわかってないんじゃないかな。それでいばくんはどう思うのって、聞くんだよ。聞かなきゃ駄目。いやあれでもしかしていばくんも混乱してるのかも知んないね、凪砂にさ、告白されてびびってんのかもよ。契約とか仕事とか、そういう距離じゃないじゃん、恋って。いばくんは凪砂のこと大切に思ってるよ、仕事でもね。だからその距離感が変わっちゃうこと、怖いのかも知んないね。でもさー、びびってたからこんな変なことにあたしが巻き込まれてるんじゃんね? 解決できないっつーの。逃げだよ、逃げ。凪砂もよく云っといてね、あの女めちゃくちゃ怒ってたよって。まあ金はもらうんですけどね。
    「うん。云っておく。……茨に会って、話したいな」
     じゃあちょっと待っててね。
     云われた番号に電話をかけて、部屋に来てほしいといばくんに云う。あたしが部屋の外で待ってたら、青い顔でやってくるから笑っちゃう。自分からやっておいて後からショック受けてるの自傷じゃん。「閣下は」ってぺらぺらの紙みたいな表情で云うから中だよって肩を叩く。頑張れよ少年。気分いいし飲んで帰ろ。

     ***

     それからそういえばそんな名前のアイドルいたよなあとかぼんやり考えて(うちにはテレビがない)しばらくして忘れた頃に手紙なんてものが綺麗な封筒に入って届いた。凪砂から。前略前略前略。とにかく二人は付き合うことになったらしい。それは良かった。チケットが同封されていた。武道館じゃん。きっと二人はキラキラのステージで歌うんだろうな。二人だけにしかわからない距離で、踊る。それをあたしは後方彼氏ヅラして見届ける。どんなプレイだ。
     まあでも二人の幸せをあたしは願う。あたしもなんだか幸せになるから。

    (210218)
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