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    みひろ

    @mihiro_stardust

    凪茨メインに健全なものも置いて行くけどすけべな絵も落書きでもなんでもここに置いていく。
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    みひろ

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    夜編 ※お触りがあるのでR15
    まだ続きます( ˇωˇ )

    #凪茨
    Nagibara
    #R15

    Evening 夜、時刻は20時くらい。
     夕飯を済ませて食器を洗い終え、閣下が座って読書をしている間に自分は風呂の支度だ。洗って、湯を張るために浴室リモコンの電源を押して温度設定を見直す。大体42度~43度に設定をしてあるから余程のことで上げたり下げたりしなければ変わっていないはずだ。変わっていないことを確認してお湯はりボタンを押下すればリモコンが喋り出してお湯が出る音が聞こえる。栓もしてあるのは確認済みだから数分もすれば沸くだろう。その間に閣下の着替えとバスタオルを脱衣所に用意して、まだ寒いということも考慮し、浴室ドアの横にあるスイッチで浴室暖房を付けておく。そうして戻れば気がついた閣下が本から視線をあげてポンと自身の隣を叩いた。おいで、という仕草だ。いつもならタブレットを持ちながらなんでしょう、と行くが今日は仕事禁止令をこの人から出されているため自分の体だけで隣に腰を下ろす。

    「たまにはこうしてなんでもなく過ごすのも悪くないでしょう?」
    「はぁ……、大事な仕事の連絡が来ているのではないかと冷や冷やはしますが……」
    「このままだと仕事中毒ワーカーホリックになっちゃいそうで私は心配。既にそれになっているのかもしれないけれど」

     肯定も出来なければ否定も出来ない。片鱗はあるかもしれないが、と考えていれば目尻に閣下の指が触れてなぞる。視線を向ければじっと、こちらの顔を見つめていた。

    「……なんでしょう?」
    「ねえ、茨。君が頑張っているのは私も知っているからあまり口出しはしないけれど、頑張りすぎは良くないからね」
    「何をおっしゃるのかと思えば……、自分は頑張っているなんて思っていません。自分の為に生きるのに必死なだけで必要労力というだけです」

     実際のところ、頑張っているなんて思っていない。やらないと生きていけないだけだ。人生、常に戦場。生きる為に汚れ仕事だって厭わない。Adamとして、Edenとして閣下を輝かせる為ならば、この身がどうなろうと構わない。嫌な取引先が相手でも媚びへつらって、頭を下げて、最悪この体だって差し出してもいい。その先に得られる利益が絶対的頂点に君臨する為の布石となるなら。なんて、口が裂けてもこの人には言わない。言ったらきっと、そんなもの要らないと言うに違いない。

    「必要労力……ね」
    「ええ、我々Edenが頂点に君臨する為の必要労力です」
    「その為なら自分の身がどうなってもいいって?」
    「はい!例えこの身を売ることになっても――」

     あ、まずい。
     そう思った時にはもう遅くて、思い切りソファーに押し倒されていた。脚の間には閣下の脚が割って入れられていて片方の手は手首を掴まれている。視界の端でさらりと閣下の髪が垂れ落ちるのがわかった。目の前には機嫌を損ねた夕陽のような色の瞳がある。

    「……それ、本気で言っているの?」
    「……そうするしかないとなった時には、喜んで差し出します」
    「そんなこと、私は絶対に許さない」

     別にあなたの許可なんて、と言いかけたところで口を塞がれる。いつの間にか両手は閣下にまとめ上げられて、容赦なく口腔内を支配された。息がまともにできない、動く足で離せと訴えかけるがやめてくれるはずもなく躊躇いもなく閣下の手が裾から侵入して胸の飾りに到達すれば指の腹で捏ねられる。

    「んッ、んぅっ」

     こうなっては体は素直に反応してしまう。何度も体を重ねているうちに、この人に触れられればあるのは快楽だけ。今だって強引に口付けられて拒絶しようとしているのに体は悦んでいるのだ。

    「は、ぁ、閣下……っ」
    「私は茨の、茨は私の。誰にも触れさせない、誰にも茨の体を暴かせない。ましてや、利益のために自らその身を差し出そうだなんて馬鹿なことを言わないで。そんなこと、私じゃなくても怒るって、聡い君なら解るでしょう」

     感情的になるこの人は珍しい。いや、四国で一度見てはいるが思わずにはいられなかった。自分のことでこんなに怒るのか、と。反論しようにも閣下がいつにも増して感情的に怒っているのが解ってしまって、言い返せなくなっていた。なんとも言えない空気を風呂が沸いたことを知らせるメロディーが見事にぶち壊す。それをいい事に少しだけ緩んだ閣下の手から逃れて身を転がしてソファーから落ちれば立ち上がって閣下の腕を引っ掴んで引きずるように脱衣所に連行する。

    「お風呂が沸きましたのでさっさと入ってください!」
    「茨、話はまだ……っ」
    「いいですか、ちゃんと肩まで浸かってください。それと脱水防止のために水の入ったボトルを常温で用意しておりますのでお忘れなく!では!」

     ぴしゃん、と脱衣所のドアを閉めて深く息を吐き出した。ああなると、鎮まるまでが長い。ならばいっそ風呂に放り込んでしまえば時間稼ぎにはなる。

    「……私は茨の、茨は私の……か……」

     怒りで告げられたその言葉を噛み締めてしゃがみ込んだ。面と向かって言われてしまっては何も言えない。自分は仕事ならばベッドシーンで閣下が女性に触れることがあっても致し方ない。許せる。仕事だから。枕営業、これは自分にとっては仕事だ。けれど、閣下にとっては違うのだろう。あの口振りでは仕事であっても自分以外の誰かが俺に触れることも抱かれることも認めないし許さない、という感じだ。
     私じゃなくても怒る、きっと殿下もジュンも怒るという事なんだろう。怒るのだろうか、特に殿下が。潔癖な部分があるあの御仁なら有り得もなくないのかと、思わなくもないが。

     Edenや閣下を守るためなら死ねるかと言われればはいと答えるだろう。だってEdenは俺にとってそういうものだから。その為ならなんだってやってもいい。血に濡れたって……。

     ピロリロリン、と呼出音が聞こえた。浴室リモコンから台所リモコンへの通話機能、つまり閣下からの呼出音だ。

    「なんの御用ですか?」
    「うん、替えのシャンプー、あったかなって」

     不覚、残りを確認していなかった。そう思いながら待っててくださいと一言告げて通話を切れば急いで詰め替え用のシャンプーを持って浴室に向かう。ドアをあければ湯船に浸かって水の入ったボトルを口にしている閣下がいた。

    「すみません、もう空でしたか」
    「ううん、まだ残ってるよ」
    「……は?」

     じゃあなんで呼び出したのか、と見ていればぐっと片手を引かれた。

    「一緒に入ろう、茨」

     湯気と上昇した体温で赤く染る肌に、滴る雫。瞳を細めて微笑む閣下は、色香が凄まじい。その上で仲直りしたいな。と言って、かけている眼鏡に手を伸ばして、ゆっくりと外したのだった。
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