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坂田銀八は教師である。担当科目は現代国語。私立銀魂高校に勤めて十年になる。
勤務態度はあまり良くない。周囲に評価を聞けば十中八九、やる気がない、だらしがない、甲斐性がない、などの惨憺たる枕詞を冠されて答えが返ってくる。しかし人望は不思議とあって、生徒達からも同僚教師たちからも最終的には頼りにされている。
本人的には、首にならない程度に仕事をして給料が貰えれば良いと思っているので、極力面倒事には関わらないスタンスだ。むしろ避けているつもりでいる。
その筈なのだが、厄介事というものは、時に向こうからやってくる。
「好きだ」
そう言ったのは少年だった。高杉晋助、今年銀八が担任することになった三年Z組の生徒である。
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