15分のデート、恋人の時間 悲願だった黒ずくめの組織一斉検挙に成功した。僕は潜入捜査官の任を解かれ、警察庁に復籍した。
潜入捜査官でなくなった僕に、連絡役は必要ない。僕と風見は正式に上司と部下ではなくなった。
風見を手放すことは、半身を引き裂かれるような痛みを伴った。よく馴染んだ部下を手放して、また新しい部下ともう一度関係を構築することが煩わしいからではない。
影に日向に、僕のために生きてくれた風見裕也を、愛してしまったからだ。
思いを伝えるつもりはなかった、本当になかったんだ。最後の日、これで終わりだからと、深夜の会議室で二人きり、不良警官だって笑いながらコンビニで買った缶ビールで祝杯を挙げて、「落ち着いたらのみに誘うから、僕のこと忘れないでくれよ」と、戯けてみせた僕に「あなたみたいな強烈な人忘れたくても忘れられるわけないじゃないですか」といって僕との別れを惜しむように涙を流すから。風見も僕と同じ気持ちなんだとわかってしまったら、もうだめだった。押し殺して墓場まで持ってくつもりだった気持ちが溢れてしまった。
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