ドレスローザを水平線の彼方に、勝利の祝いは宴もたけなわだ。騒ぎ疲れて辺りを見回し、ウソップは丁度いい休憩場所を発見する。
トラ男という人間は、宴の中心に引きずり出そうとする相手には額に青筋立てて抵抗するのだが、本気でキレ散らかしたりしないあたりは船長の器量というべきか。ただし心底ウザがっているのは間違いないようで、しかし早々に抜け出してふて寝を決め込むこともない。
舷側にもたれて立て膝でジョッキを傾ける様には機嫌の良さが見え隠れし、程なく周りの海賊たちも彼を放っておくことを覚えた。単に、騒ぎたい者同士で騒ぐのに忙しかったともいう。
そういうわけで、トラ男の周りには腰を落ち着けられる程度のスペースが空いていた。その視界からちょいとずれるくらいの間をおいて、ウソップはこれ幸いと隣に陣取る。
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