どんな形でもヒーロー「楓ー、終わった?」
「うん、今行くー」
荷物の整理をして、鞄を抱えた。廊下に向かって友達と合流。こっちに来てから仲良くなったメンバーで今日の放課後の予定を立てた。
「今日は新しくできたカフェ行ってみない?」
「あ、ブロンズエリアに出来たって言ってたっけ?気になってたんだよねー」
「行こ行こ!」
ワイワイ話をしながら学校の廊下を進む。2階の廊下からはグラウンドがよく見えた。
「あ、あれ、先生じゃない?」
友達の一人が、そのグラウンドに向けて指を刺した。その先には、緑のジャージを着た先生と呼ばれる人物が、生徒たちと一緒になって校庭を走り回っている。
「楓、挨拶してから帰ろーよ」
「ええーいいよ、わざわざ」
「おんなじ学校でも、あんまり授業とか一緒にならないんだもん。挨拶くらいしていきなよ」
「私、あんまり話ししたこと無いからちょっと気になってた」
「フツーのおじさんだよ、そんな珍しいもんじゃ無いって」
「だって、元ヒーローなんて、中々会うこと無いもん!」
1階に降りて、ワイワイ言いながら玄関からグラウンドの方に回る友達に渋々着いていく。前とは違って、別にここで話しなくたっていつでも電話は出来るし、会いに行こうと思えば行けるんだもん。それに、何となく、学校で会うのは気恥ずかしく感じるし。
「せんせー!」
「おお!今から帰りか?気をつけて帰れよ!」
「はーい!」
先生と呼ばれた、お父さんは、こちらに振り向いて大きく手を振った。やっぱりちょっと気恥ずかしくて、友達の一歩後ろに下がる。
けど、やっぱり見つかるよね。
「お、楓!お前も帰りか?気をつけて帰れよー!」
振っていた手を、ことさらブンブン振ってこっちにアピールしてくる。どっちが子供か分かんないじゃん。
「あ、そだ!楓!」
そんな大きい声出さなくても聞こえてるってば。恥ずかしい。
パパッと左右を見渡して、ちょっと待ってろ、と生徒に伝える。そのままこっちに走ってきた。授業中なのに、先生が抜けていいのかな。私の周りの友達も何事かと首を傾げている。
「楓、今日はパパのウチに来れるか?」
「…学校でパパって言わないでって言ったよね」
「あっ、ごめん!つい、」
「何かあるの?」
わざわざ学校で言うくらいだから急なことでもあるんだろうか。
「今日は久々に、にいちゃん来れるってさ。だから、晩飯でも一緒にどうだ?」
「えっ!分かった、寮に申請出しとく!」
「おお、じゃあまた、連絡するな!」
じゃ、みんな気をつけてな!なんて言いながらバタバタ走ってグラウンドに戻っていった。
急な話で何事かと思ったけど、そっか、なら、今日は早く帰って宿題終わらせなきゃ!
ソワソワする私に、周りの友達はさらに首を捻った。
「楓って、お兄ちゃんいたの?」
「今の言い方だったら、虎徹先生のお兄さんじゃないの?」
「ええ、おじさんじゃん」
「そんな楽しい人なの?」
「ああー、でも虎徹先生のお兄さんなら楽しそうかもね」
あれこれ話を広げる友達に、
「ごめん、予定出来ちゃったから今日は先に帰るね」
と告げて駆け出した。
「また今度、お兄さんのこと教えてよー!」
「また今度ねー!」
そうだ、折角だから。
携帯を取り出して、サロジャに電話をかける。
「あ、サロジャ?そっちも授業終わってる?良かった。さっきお父さんから聞いたんだけど、今晩バーナビーが来るって!空いてたらご飯どう?…やった!じゃあ後で寮の前で集合ね!」
※設定
タイバニその後
ヒーローアカデミーの臨時講師の虎徹さんと、アカデミーに通ってる楓ちゃん。
たまににいちゃんと称してバニーちゃんとご飯とか食べたりしてる。
バニーちゃんは怪我と折り合いがつくまでは2部ヒーローでリハビリ中とかじゃないかな話