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    memeyanW

    @memeyanW

    勇者刑多

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    memeyanW

    DONEホストライノーが刺される話……2パターン書いてたってコト!?
    ※痛そうな描写が含まれます
    入れ食い腹部に刺されたナイフを、ライノーはぼんやりと見やった。刃渡は短いようだし、筋肉で止まっている。訓練を受けていない女性の腕力だ。自分に致命傷を与えることは難しいだろう。ライノーはゆっくりと自分の腹部にナイフを刺した女に視線を移す。彼女とは知り合いだった。自分の「姫」だ。それも「太客」の「姫」。彼女が刺したナイフから手を離し、一・二歩距離をとったところで、ライノーは口を開いた。逃げないのなら、対話の余地があるのだと思った。
    「どうしてこんなことを?」
    言いながらライノーは二つの予想を立てていた。一つは、女性が自分を殺害しようとしたが、技量不足で失敗したというもの。もう一つは、女性は自分を殺害するつもりはなく、なんらかの事情で足止めがしたかったり、傷を与えたがっていたというもの。いずれにしても、根本的な理由がわからない。自分は彼女を害するようなことをしただろうか。彼女の家計を圧迫しているということはあるかもしれないが、それは合意の上で行われているはずだ。いや、しかし人の心はそこまで合理的なものではない気もする。まだ自分が勉強中の機微だろうか……と考えたところで、ライノーは女が小刻みに震えていることに気づいた。寒さによるものではないだろう。俗に熱帯夜と呼ばれる現象で、今の時期夜中になっても気温が下がることはない。
    1975