たつひか140字SS暉が付けるあだ名は大抵よくわからない。けれど他に使う者がいない特別さを思うと呼ばれるやつが少しだけ羨ましい。瞼が重くなる0時半。独り言のように呟けば「じゃあダーリンって呼ぶ?」悪戯に笑う顔に艶のある三日月が浮かんでいる。「やめとけ」潜り込んだ布団の中、ニヤついてしまう恥ずかしさ。
(以下KoC設定)
丸まった布団をひっくり返して小さなテーブルの上にはトーストと目玉焼き。食い始めれば途端に目覚めベラベラ喋り出すのにどうして、なぜ、一人で起きられないのだろう。大きく吐いた溜息は黄色に染まった食パンと共にぱくりと飲み込まれ。ねぇこのまま結婚しちゃう?ずるい男は寝癖のままで笑うのだ。
(帝人視点)
掌も通らぬような僅かな隙間だった。学校中を畏怖させる猛獣は新緑のカーテンの下、微睡むように目を細めている。触れては離れる戯れ、数拍おいて静かに扉を開いた。素知らぬ顔を演じてみたが唸るような重い視線が釘を刺す。案ずるな、牙剥く獣の正体が甘えて擦り寄る猫だったなど、一体誰が信じよう。