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    松だ祭

    何かに上げるとやる気が出るけれど青い鳥も支部もちょっとためらわれたのでお試し
    (@matsuda_raindow)

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    松だ祭

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    今日の配信見てたらホストくんがとんでもねぇものを書いていたのでとんでもねぇ気持ちになってとんでもねぇ妄想二次創作書かずにはいられなかった
    ホスト、匂う……。でもきっとハッカーとは違う苦しみだとは思うよ。ヲ的に。

    心の隅に浮かんだ疑問が、少しずつ大きくなって黒ずんだ沁みになる感覚に嫌悪感を覚えながら、配信が終わってディスコードのグループメンバーが少しずつ落ちていく様を、黛灰は見つめていた。
     お疲れ、お疲れ様、そんな挨拶が今日はとても形式じみた、空虚なものに思えて仕方がない。この感覚はちょっとしたズレを思い出すとやってきてしまうものだ。誕生日、好きなもの、こういった自分のことを語ることは、今の黛にとって少し苦手な部類であった。
     語りすぎたかな、と思考の淵から現実に意識を戻せば、いつもの如くマイペース故にディスコードを中々降りない不破湊のアイコンが目につく。周りが落ちたことに気づいていないのか、はたまた自分も落ちた気になっているのか。「不破くん」と声を掛ければ、生返事が返ってきた。どうやら意識は別の所にあるらしい。
     こうした彼の掴めない性格が、黛は心地よかった。彼にとって会話はほとんど連想ゲームのようなものであり、その話題の根幹も方向性も定まったものではない。でもそれでいい。意味を求め、価値を求め、動けなくなることが多い黛にとって、どこまでも「定型」に収まらない彼を見ると、どこか安心した心地がするのだ。
     そうであるにも関わらず、今日はどこか焦燥感に苛まれてしまう。彼に何かしらの疑問を抱いてならない。何故。それすら分からない。正解数が少なかったとでも思っているのだろうか。いや、正解数が同じ他の参加者に対して思うところは何もないはずだ。自分は何が気に入らない。何を恐れている。
    「ごめんね、まーゆ」
     顔など映っていない筈なのに、何故か悲しげな声色の不破がそういった。なにが、と黛が返す。
    「突然じゃん。俺、何かされた?」
    「だって——」
     一瞬の間。どう言葉にすれば良いのか、考えているのだろう。先ほどの生返事は、もしかしたら今の謝罪の言葉のために思考を割いていたからかもしれない。
    「あ、うーん。や、なんでもないっす」
     ははは、と乾いた声で不破は笑う。言葉にすることを諦めたようだった。ならいいけど、と返しておきながらも、黛の疑問は膨らむ。自分は彼に何を期待した。
     おつかれ、と言葉を残して彼のディスコードはオフラインになった。釈然としない気持ちのまま、黛も静かにディスコードを落とした。



    「っぱ、ダメかぁ」
     椅子にもたれかかって、不破湊が溜息を吐く。
    『俺、何かされた?』と先ほどまで話していた彼、黛灰は珍しく笑いながら尋ねてきた。彼のその姿を見ると、不破は酷く虚しくなる。
     事実は変えられない。無は有にならない。空っぽは空っぽのままなのだ。自分がそうであるように。
    「だって、やなもん見せちゃったから」
     届かなかった言葉をもう一度、ぽつりと宙に投げる。罪悪感を乗せたそれは、部屋に反響して再び自分の胸へ帰ってきた。
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