ファングが船員たちとラーマを訪れている夜のこと。
就寝するにはまだ少し早い時間、夕食後からコーダの姿が見えなくなり、気になったエリンは城内の見回りついでに彼の姿を探した。
数ヶ月振りに再開したあいつはのほほんとした王様の横でキャンキャン騒いでいて、相変わらず子犬みたいだな、と思った。
特に変わった様子もなかったので、気に留めずいつも通り接していた。
夕飯時も大人しかったけど、元気がなさそうだなとか、違和感を感じるようなことはなかったし、眠くなって部屋に戻ってしまったのではないか。
そんな事を考えていたら、今宵コーダが借りているゲストルームの前に着き、扉をノックをした。
否、正確にはノックをしようとしたが、扉の先から呻き声のようなものが聞こえて構えたその手を思わず止めてしまった。
具合でも悪いのだろうか、コーダの様子が気になり扉を開くとベッドの上で丸くなる彼の姿を見つけた。
呻き声のようなそれをはっきり聞き取ると、状況を確認しようとベッドの近くまですぐに駆け寄った。
「ちょっと、コーダ具合悪いの?今すぐ誰か呼んでくるから我慢して...」
言いかけたところで、コーダがエリンの手首をやや強くぎゅう、と握り引き留めた。
「...いい。違うから...余計なこと、するな」
「は?何言ってんの。そんなに顔真っ赤にして...」
掴まれただけでコーダが熱を出していることはすぐにわかった。
彼を観察してみると、興奮した獣のようにフーッ、フーッと荒い息を吐き小さな獣耳を垂らして震えている。
あれ、もしかしてこれって...。
「お前、発情してるの?」
「...っ」
気付かれたくなかった様子、彼はこちらを睨みつけていた目を伏せて、悔しそうに歯を食いしばった。
エリンは面白いことを発見したような、楽しそうな顔をしてコーダの耳元に顔を寄せた
「ねえ、辛いんでしょう。手伝ってあげようか?」
「!ふざけるな、オマエ何考えて...」
「なーんにも考えてないよ、コーダこそ変なこと考えてるでしょ」
女の子にしか興味ないけど、いまのお前可愛いから、ちょっとだけ遊んであげる。
コーダは思うように動かない自分の身体にいらつき舌打ちして、なるべく気を逸らすように目を瞑った。
(R18編に続くかも)