虎穴に入らずんば。 万年人手不足の呪術界において、世間一般的な休みという概念はあまり通用しない。それは高専においても同じことで、大体クリスマスイブ辺りから始まる筈の普通の高校生が楽しむ冬休みというものは存在しなかった。クリスマスイブも、クリスマスも、呪霊狩り。一年生の時は最早それどころではなかったので何も考えなかったし、何とか迎えた二年目の呪術師の冬は前述の通りである。ちょっと悲し過ぎるが、まあそういうものだと割り切るしかないし、仲間もいたので虎杖としては構わなかった。
しかし、冬休みはなくても、大晦日から三箇日にかけての年末年始に限っては、高専関係者は休みがあると知ったのは、十二月三十日、五条が気まぐれで開いた二、三年生合同LHRの場だった。
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