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    ユミカ

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    ユミカ

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    9ヶ月前にマロリク入れてくれた方(まだいるか分かんないけど)ちょっとだけお時間くださいの進捗です。
    ※現在マシュマロでリクエストは受け付けていません

    ギリ、まだキスまで

    楽屋でッチする話 今日の予定は、高校で一日授業を受けてから、そのままラジオ番組の収録だ。マネージャーが運転する車内で台本を確認していると、あの、と不意に声を掛けられて頭を上げる。

    「なんでしょうか」
    「その……すみません。一織さんの学校の時間も考えると、どうしても夜の時間ギリギリまでお仕事を入れなければならない状況で」

     恐る恐るといった様子で告げられたのは、謝罪だった。

    「いえ。入れてほしいと言ったのは私ですし、体調管理はしっかりしていますから謝らないでください。あなたはあなたの仕事をこなしてるだけでしょう」

     この言葉は本心だ。定期テストが近いのと単位を考えて暫くちゃんと授業を出席したいと申し出たのは自分で、だけど仕事量を減らして調整するのをやめてほしいと頼んだのも自分だ。マネージャーが申し訳なさそうにする理由がない。

    「あ……そう、ですよね。今朝、陸さんが一織さんと会ってないとおっしゃっていたので、少し気になってしまって」

     バックミラー越しに見るマネージャーの作り笑いに、思わず溜め息を吐く。そういえば七瀬さんとはラビチャでの連絡が主だった。寮に帰宅しても、ご飯とお風呂を済ますと一気に一日の疲れがきてしまい、でも風邪を引く訳にもいかないため早々にベッドに入っている。この生活が始まって一週間は経つが、高校にいる時は一緒の四葉さんや食事の時間がちょうど合う他メンバーとは話しているものの、七瀬さんは写真集の撮影が並行しているため遠征したり移動で早朝に出て夜に帰って来ている日々だ。
     しかも、七瀬さんとの関係はただのアイドルグループの仲間というだけでない。身内のみが知る関係、恋人同士であるにも関わらず会えていない今、そういった意味でも多少なり精神的な負担もきていたのかと今更気が付く。

    「まあ、それは……ですが、これから二人での仕事ですし。楽屋で会えますから」

     だが、今から向かうのは七瀬さんとの二人でのラジオ収録で、ようやく七瀬さんと仕事とはいえちゃんと会うことが出来る。元は七瀬さんと六弥さんの二人ラジオであるが、現在六弥さんが海外ロケへ行ってる代打で、七瀬さんが私を指名したのだという。ノースメイア騒動でも二人でやったことがあるため、代打案は問題なく通ったようだった。

    「次に三月さんの迎えがあって、ラジオ局の到着時間がだいぶ早くなってしまいました。先方にはご相談していて、楽屋はすでにご準備いただいています。申し訳ないのですが、時間までは楽屋で待っていてほしいとのことで。陸さんは予定時刻十五分前には到着予定です」
    「分かりました。挨拶は私一人で済ませますので、兄さんの迎えはお願いします」

     目的地のラジオ局に到着し、降り立って今日の現場へ向かう。扉を開くや否やちょうど出会した今日の担当の放送作家やスタッフに頭を下げて、楽屋までわざわざ案内してもらった。

    「すみません、一時間も早くに到着してしまい」
    「いえ、マネージャーさんから聞いてますので! ただ、収録時間が早められなくて待機時間が長くなってしまうんですが……」
    「七瀬さんの到着も待たなければいけないので、問題ないです」
    「……あれ。七瀬さんなら、さっきもう来てましたよ。いつも通りのニコニコアイドルスマイル浮かべてて、こっちも癒しをもらいました!」
    「え……」
    「あ、今日の楽屋はここです」

     ちょうどタイミング良く楽屋に到着し、案内したスタッフは自分の持ち場へと戻って行った。
     先ほどのすでに到着しているのは本当かどうか、一織は謎に緊張を覚え、はあと大きく溜め息を吐いてゆっくりと扉をノックした。

    「はーい」

     聞こえてきた声は、聞き間違えるはずもないものだった。扉を開くと、ソファーで台本を読んでいた七瀬さんと目が合い、その瞬間パッと正にスタッフが言っていたアイドルスマイルを向けられた。

    「一織だー!」

     立ち上がったかと思えば、こちらに飛びつくように抱き付かれる。ふわりと久々に七瀬さんの匂いも感じた。

    「到着、早かったですね」
    「うん。撮影が巻けたから、早めに来れた! こっちのスタッフさんは顔見知りばかりで落ち着くし」
    「……あの、七瀬さん」
    「なに?」
    「そんなくっつかなくても、」
    「えー、やだ! 一織が足りないんだもん!」

     扉に背中を押し付けられたまま額同士が触れ合って擦り付けられる。
     確かに、疲労が蓄積されている自覚はあった。高校の行事と仕事の多忙な時期が重なってしまい、ほとんど寮にも帰らず七瀬さんとちゃんと顔を合わせられるのも久々である。
     間近で見る七瀬さんの顔さえもきちんと対面するのは久々のことのように感じ、ぐっと色々と込み上げてくるものを必死で抑えた。
     仕事前だというのに、このまま至近距離でいるのはやましいことが浮かびそうで、必死に目を逸らして仕事のことを考えようとする。

    「ねえ一織」

     その思考は、たったの一言で引き戻された。間近で直接、七瀬さんの声が鼓膜を震わせる。鈴みたいに軽やかで、しかしお菓子のような甘い声色は二人っきりの限定的な時でだけ聞くことのできるものに、否が応でも反応している自分がいる。

    「会うの、久々だね」
    「まあ……お互い多忙でしたから」
    「うん……」

     少し俯いたかと思えば、するりと七瀬さんの腕が首に回される。
     そして、顔を上げた七瀬さんの緋色の瞳は、とろんと二人きりの時にだけ見せる情欲が浮かんでいた。このままではまずい。本能的に感じるも、胸が密着して身じろぐことさえ憚られた。

    「七瀬、さ……」
    「キス、したい」
    「っ今ですか?」
    「今。一織不足なんだもん、ダメ?」

     目の前の血色のよい唇から紡ぎ出されたおねだりに、思わず生唾を飲み込む。このタイミングで、この場所では良くない。と理性が必死に止めるものの、七瀬さんの顔が近づいてもそれを拒否することは出来なかった。
     それぐらい自分も飢えているのかと、無意識に目の前の人を欲しがって自分を律せなくなっていることに内心動揺する。
     互いの吐息が触れ合う距離まで近づき一瞬だけ視線を合わせた後、瞼を閉じて自然と唇を重ねていた。乾燥しがちな季節であるため、最近持たせているリップクリームをきちんとつけているようで、しっとりと濡れつつも柔らかな唇を堪能しようと、腕を伸ばしてうなじを撫でる。

    「んは、っあ……」

     後頭部を引き寄せ、口を塞いでは離し、また角度を変えて唇を重ねる。何度か繰り返し、今まで我慢していた分を補給して、もうそろそろ止めようかと深く口づけた時だった。
    その意図に気づいたのか、招くように口が開かれて、流されるように舌を伸ばす。舌先に触れるとぴりっと小さい快感が生まれた。
     このまま続けていたらまずい。そう頭では理解しながらも、一瞬思考した意識を再び自分へ向かせるように七瀬さんの舌の動きが大胆になっていき、気づけば彼の両肩を掴んで、その袖を七瀬さんが少しだけ握り締めてキスに集中していた。



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