花火と真スミ人いきれから逃げるように腰を下ろした河原。
こっちに行こう、と引かれた手はまだ繋がれたままで、互いの体温でじっとりと滲む手汗は不思議と嫌じゃなかった。
それをそのままにふたり空を見上げる。
ひゅるひゅる、どん、ぱらぱらぱら。
「すごいなぁ、こんなに近くで見たの久しぶりだ…」
夜空を映した琥珀がキラキラと輝いてそう呟いた。
でもそのセリフはただの照れ隠しで。
隣に座る艶やかな黒の前髪を湛えた彼が視界の横にチラついては、緩む頬を隠すのに必死であった。
その彼もまた空を見上げて呟く。
「そうッスねぇ、自分も何年ぶりッスかねぇ」
これも、照れ隠しだろうか。
少し静かになった夜空のおかげでその表情はうかがえない。
「そっか…」
「…」
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