PARTY IS NOT OVER 冬の空気を醸し出す十一月の夜は思ったよりも寒く、人通りが少ない自宅までの冷たい道を肩をすぼめて歩いていた。
珍しく仕事終わりが被った五条と、慌ただしく過ぎた一日を労うようにのんびりした足取りで帰路につく。同じ家に一緒に帰れるという幸福は何度味わっても慣れない。
「腹減ったー」
会話の中の何気ない一言。いつもと変わらない普通の話しに、私もお腹が空いていたことを思い出した。一日中動き回っていると食事を摂る時間はないし、一息つけてもコーヒーばかり飲んで食べ忘れるから一日の終わりにいつも空腹だったことに気がつく。医者として不摂生極まりないがいわゆる職業病というものなのかもしれない。
「私も今日はコーヒー以外口にしてないな。帰ったら何か作る?」
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