グイドの話※ゴダルカバレあり――すべては、不完全な性から生まれた。
焔の中、ただ一人泣く娘がいた。
「やだよ、消えないで…」
「フーシェ、もっと隊長と一緒にいたいよ…だから、消えないで…」
握りしめた包帯はじわり、じわりと手紙を焼くように、ゆっくりと、しかし急速に消えていく。
『私は、やがて焼き消える。フーシェ、君に託す『原初のアルカナ』こそが、唯一の…!』
『■■■■の生きた証だ!!』
今にでも掻き消えてしまいそうな記憶の中で、言葉がこだまする。
いやだ、見たくない。
あんな冒涜的な、こわくて、でも、みなきゃ
目を閉じたのに、見える。嫌だ、嫌だ、
「誰か…助けて…」
『承った』
刹那、己は白にいた。
時間の余白。
切り離されたその世界で、出会った。
「…だれ…?」
「我はグイドなり。汝の心の鎧となり、矛となろう」
白は、そうして溶け切った。
のちに、ようやくその場に辿り着いた戦闘部隊が見た光景は。
一切の脅威が去り、ただ仙人か、仏のように座るグイド・フーシェだけであった。
言われた言葉はただ一つ。
『歴史編纂課を集めよ。偽りの『先代』を作成する』
唖然とした中、思い出せない『何か』に縋るように世界隊は動いた。
動きは速かった。こうして『先代』は作られたのだ。
すべては、不完全な性から生まれた。
我は、グイドはそうして、雄として確立した。
「甘味、所望。大いに喰らえ。」
陰る太陽を前に、そうスコーンを口をした。