今日という特別な何も変わらない日夏油傑の誕生日で一番張り切るのは、恋人である五条悟である。
その張り切りぶりは高専時代より顕著であったが、二人が揃って教師になってからはなお激しく、夏油本人すら時として辟易するほどである。
だがそれは他人に知られることはなかった。悟が本来もつ気性の激しさはただひたすらに夏油傑のみに捧げられていた。
今年の誕生日は金曜日ということで、五条は過去にないほど気合を入れていた。できれば有給という名義だけ支給されているカードを夏油と二人揃って切るつもりだったのだが、夜蛾の拳骨と却下の言葉を賜っただけだった。
「……もうさぁ、酷くない?使わせてくれないなら有給があるとか言わないで欲しいよ!」
職員室で任務の報告書を書いている夏油の後ろからへばり付きながら、五条がぐすぐすべそべそと愚痴る。
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