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    春園ひなた

    @hinata_kr

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    春園ひなた

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    晶フィ 初夜翌朝 フィガロがまだ籠絡気分(だんだん本気になるよ大丈夫だよ勝つのは賢者様だよ)

    ##pixiv未収録

     目が覚めると、そこに賢者様の顔があった。そうか、昨日セックスをしたのだった、と俺はぼんやりと思い出す。すうすうと穏やかに寝息を立てる姿は、いつもより幼く見えた。こんな子どもみたいな人間が俺にあれだけの性欲を抱いていたことを思うと自然と口元が上がる。決して上手くはなかったけれど、一生懸命に抱いてもらえるのはなかなかよかった。
     そうやって眺めているうちに、彼のまぶたがうっすらと開いた。
    「あれ……? フィガロ?」
     まだ寝ぼけているのだろう。目の前に俺がいることに少し驚いた様子がかわいらしかった。
    「うん。おはよう、賢者様」
     だからにっこり笑ってあいさつしてやると、ぱちりと目が開いた。
    「あ、」
     曖昧な声が漏れる。徐々に頬が染まっていくのがこの距離ならよく観察できる。照れるかな、と思っていたのに、彼は俺から目を逸らさないまま、じんわりと笑った。眉を下げて、目を細めて、噛み締めるように。
    「おはようございます、フィガロ」
     優しいのに弾むような声。この子は本当に俺のことが好きなのだ、と改めて突きつけられて、俺は妙に胸があたたかくなるのを感じていた。誠実な人間からまっすぐな気持ちを向けられるのは気分がよかった。まるで、自分がそれにふさわしい存在になったみたいで。
    「いつまでもきみとこうしていたいけど、あんまりゆっくりしているとミチルが起こしにきちゃうかも」
    「あ、そう、ですよね」
     賢者様は改めて赤くなった。バレることを想像しただけで恥ずかしくなってしまったのだろう。かわいらしかったし、優越感と背徳感があった。このみんなに優しい人間が、誰にも言えないようなことを俺としたのだ。快楽に溺れて、愛らしい声を上げて、一心不乱に腰を振って。
    「だから今朝はここまでだけど、……これきりじゃないでしょう?」
    「……、はい!」
     返事がやたらと力強くて、俺は思わず笑ってしまった。賢者様は一瞬拗ねたような顔をして、けれどすぐに一緒に笑い出す。小さな笑い声が二人分部屋に響いて、くすぐったい気持ちになる。
    「フィガロ」
     少し改まった顔つきと声で、彼が俺の名を呼ぶ。
    「改めて、よろしくお願いします」
    「うん。よろしくね、賢者様」
     この関係性の変化に後悔のない様子なのが素直に喜ばしくて、俺は笑みを深めた。
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    春園ひなた

    DOODLE「猫の瞳」晶フィ
    ナンジャ第二弾かわいすぎたので、何番煎じかつ自分でも過去に書いてるんですが猫に変身ネタを書きました。
    重心としては猫以外の方に寄っていますが……。
     猫になったフィガロを見て、俺は目を輝かせてしまった。
    「わああ!」
     毛足が長くて、整った顔立ちをしている。ふわふわした尾を優美に振って、こちらに目配せしながら顔を洗ってみせる。サービスの良さも、きれいな榛と灰の瞳も、これがフィガロであることを物語っているのだが、そうやって意識しないと忘れてしまいそうなくらい、俺は目の前の猫に心を奪われていた。
    「触っていいですか? わっ」
     聞き終わる前に向こうから手にすり寄ってきてくれて俺は感動する。うっとりするほどやわらかくなめらかな毛並みだった。
    「はあ……ふわふわ……すべすべ……すごいねえ」
     一度触れてしまうと離すのが惜しくて、俺は両の手で猫を撫で回す。気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らしてくれるのがたまらない。しまいに腹を出してくれたので、かがみ込むように顔を近づけた。このまま頬ずりしてしまいたい。吸ってしまいたい。にゃあん、と甘く鳴かれる。いいよと言ってくれているんだろうな、と思いながらも顔をうかがって、改めてその瞳に見惚れた。
    1149

    recommended works

    りう_

    MAIKINGフォ学オンリーの新作です。
    完成は後日になりますが、登場人物数人で繰り広げられるフォ学サスペンス?のようなもの。
    出来上がり次第、追記していく予定です。
    あんまりフィガ晶♂ではないですが、追々そうなっていくと思います。
    ※開幕で人が死んでいますので要注意。
    フォ学なんちゃってサスペンス「……っ」
     ぴちゃり、と音を立てるものはなんだろう。ぼんやりと足元を見下ろす先に、見覚えのある色が見えた。
     ふわふわと柔らかそうで、けれど冬の海のような、どこか冷たさをはらんだ灰と青。
     暗闇に目が慣れて来たのか、ゆっくりと目の前の光景が像を結ぶ。いつも清潔に整えられているはずの髪が乱れて、その色が床に散っていた。
    「…ぁ…」
     知らず、声が漏れる。視線が、無意識にその先を追う。
     ぴちゃり。もう一度あの音がした。
     その時初めて、嗅ぎ慣れない何かの匂いを感じる。生臭く、空気ごと重くするようなその匂い。
     灰青の先。多分、背中のあたり。ベージュのベストが赤黒くグラデーションしている。
     どうしてだろう。
     鮮烈すぎる光景は思っていたよりも彩度は無い。それでも、『それ』が赤いのだ。赤かったのだと分かる。分かってしまう。
    3411

    Ukue

    DONE11/14【月よりのエトランゼ】展示作品です。
    PWはおしながきに貼っているリンク先に記載しています。
    自分の住む世界にフィガロが来てもまだ「好き」を素直に伝えられない晶♂と
    「好き」と言われていることに気づかないフィガロのお話。

    I love youは聞こえない→フィガロの話
    I love youは届かない→晶♂の話
    になっています。
    I love youは聞こえない / I love youは届かないあの世界の月――≪大いなる厄災≫は綺麗ではなかった。
    たくさんの生物を殺し、大地を壊し、賢者の魔法使いたちに傷を与えた。
    血に染まった、醜い存在。
    だけど、この世界に来てからはどうだろう。
    この世界の月は俺たちに危害を加えることはないし、何かを壊すこともない。
    毎晩暗くなった街を照らし、人々に希望を与えている。
    「あの世界で『月が綺麗だ』って言ったら、フィガロは不謹慎だと怒りましたよね」
    「そりゃそうだよ。賢者様は殺人鬼を美しいと思うのってあの時も聞いたはずだけど」
    「俺はそんな変わった人じゃないです」
    賢者様はたまに意味不明なことを言う。
    蒸し暑い時に「今日は少し肌寒いですね」とか、晴れているのに「雨、止みませんね」とか言っていた。俺が「風邪引いたの?」「大丈夫?」と声をかける度、悲しそうな顔をしていた。
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    りう_

    DONE11/14逆トリオンリー「月よりのエトランゼ」で展示していた作品です。
    逆トリで晶くんの世界にやって来たフィガロと晶くんが買い物デートして二人でダーツをしています。
    ご都合主義なので、厄災がどうにかなって、二人はお互いの世界を行き来出来るようになっている…という想定です。
    ※ちょっとだけフィガロ親愛ストのネタバレがあります。
    勝者の願い そこそこ人の多い、昼下がりの商店街。自分と同じく買い物に出ている人や外食に来ている人が多いのだろう。
     彼と連れ立って歩くとちらちらとすれ違う人たちの視線を感じた。その視線は、俺では無く隣を歩く人へと一心に向けられている。それはそうだろう、俺の横にはこの国では見かけない珍しい色彩と、頭一つ飛びぬけた長身、それに整った顔立ちを持った麗人が居るのだから。
     そっと斜め上を見遣ると、彼は珍しそうに立ち並ぶ建物たちを眺めているようだった。色とりどりの看板がひしめき合うように集まり、その身を光らせ主張している。建物の入り口には所々のぼりがあるのも見えた。
     その一つ一つに書かれた文字を確認するように、時折フィガロの唇が開いては、音もなく動く。どうやら看板に書かれた文字を読み取っているようだ。
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