「こら」
後ろから声をかけると、オズは首だけで振り向いた。何故止めた、と顔に書いてある。実際に口にするなら最初の疑問詞だけだったろうが。
「そう簡単に地形を変えるな」
言葉を継いでやると、掲げていた杖が下される。俺に向き直ったオズは、じっとこちらを見つめた。
「お前が言うのか」
「昔の話だろ」
「南は」
「最初だけだよ。ある程度整えてからは自然に任せてる。生態系が発達しないと意味がない」
そこでオズは再び黙り込んだ。顔に同じ疑問詞が浮かぶ。
「できるからってそう簡単に世界を変えちゃダメなんだよ。せっかく人間の反発だってマシになったんだからさ。最近は魔法使いの価値観だってそっち寄りになってる。もう俺たちの天下じゃないんだ」
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