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    春園ひなた

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    春園ひなた

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    「猫の瞳」晶フィ
    ナンジャ第二弾かわいすぎたので、何番煎じかつ自分でも過去に書いてるんですが猫に変身ネタを書きました。
    重心としては猫以外の方に寄っていますが……。

    ##pixiv収録済み

     猫になったフィガロを見て、俺は目を輝かせてしまった。
    「わああ!」
     毛足が長くて、整った顔立ちをしている。ふわふわした尾を優美に振って、こちらに目配せしながら顔を洗ってみせる。サービスの良さも、きれいな榛と灰の瞳も、これがフィガロであることを物語っているのだが、そうやって意識しないと忘れてしまいそうなくらい、俺は目の前の猫に心を奪われていた。
    「触っていいですか? わっ」
     聞き終わる前に向こうから手にすり寄ってきてくれて俺は感動する。うっとりするほどやわらかくなめらかな毛並みだった。
    「はあ……ふわふわ……すべすべ……すごいねえ」
     一度触れてしまうと離すのが惜しくて、俺は両の手で猫を撫で回す。気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らしてくれるのがたまらない。しまいに腹を出してくれたので、かがみ込むように顔を近づけた。このまま頬ずりしてしまいたい。吸ってしまいたい。にゃあん、と甘く鳴かれる。いいよと言ってくれているんだろうな、と思いながらも顔をうかがって、改めてその瞳に見惚れた。
    「フィガロの目、本当にきれい」
     言葉は自然とこぼれ落ちた。
    「俺、いつも吸い込まれそうになっちゃうんです」
    「へえ」
     猫が人間の言葉を喋り、そのまま元の姿に戻る。気がつくと俺はフィガロを腕の下に閉じ込める形になっていた。
    「今も?」
     ずいぶん近くから見上げてくる瞳から目が離せない。
    「はい……」
    「そう熱心に口説かれると照れるな」
     顔色ひとつ変えずに言われて俺はツッコむ。
    「全然照れてませんよね?」
    「そんなことないよ。確かに俺の瞳は変わってるし、誉めてくる奴も多かったけど。こんなに直球なのはかえって珍しくて好ましい」
     すう、と細められた瞳が、神秘的な気配を増す。
    「ねえ、俺もきみの瞳に吸い込まれてもいい?」
    「俺は、そんな特別な瞳はしてませんし……」
    「きれいだよ。日が沈んだばかりの空に、星がまたたき始めたみたいで」
     美しい比喩を口にして、フィガロはそっと微笑んだ。
    「きみの名前によく似てる」
     以前、フィガロに晶というのがどんな意味の言葉なのか教えたことがあった。重なった星の光。覚えてくれていたことに、大切そうにしてくれていることに胸がいっぱいになるのと同時に、それでもその名を呼んでくれないのだな、と思う。フィガロなりにこだわりがあるのだろうことは分かっているから、無理に呼ばせるつもりもない。けれど、彼と離れてしまう前には聞きたい。患者の緊張を和らげる医者の技術としてでなく、フィガロの心からの言葉で。
     悔しくなって顔の距離をゼロにする。目を開けたままの視界いっぱいに美しい瞳が映った。焦点が合わずにぼやけていても、それが嬉しそうに細められたことははっきりと分かった。
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    春園ひなた

    DOODLE「猫の瞳」晶フィ
    ナンジャ第二弾かわいすぎたので、何番煎じかつ自分でも過去に書いてるんですが猫に変身ネタを書きました。
    重心としては猫以外の方に寄っていますが……。
     猫になったフィガロを見て、俺は目を輝かせてしまった。
    「わああ!」
     毛足が長くて、整った顔立ちをしている。ふわふわした尾を優美に振って、こちらに目配せしながら顔を洗ってみせる。サービスの良さも、きれいな榛と灰の瞳も、これがフィガロであることを物語っているのだが、そうやって意識しないと忘れてしまいそうなくらい、俺は目の前の猫に心を奪われていた。
    「触っていいですか? わっ」
     聞き終わる前に向こうから手にすり寄ってきてくれて俺は感動する。うっとりするほどやわらかくなめらかな毛並みだった。
    「はあ……ふわふわ……すべすべ……すごいねえ」
     一度触れてしまうと離すのが惜しくて、俺は両の手で猫を撫で回す。気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らしてくれるのがたまらない。しまいに腹を出してくれたので、かがみ込むように顔を近づけた。このまま頬ずりしてしまいたい。吸ってしまいたい。にゃあん、と甘く鳴かれる。いいよと言ってくれているんだろうな、と思いながらも顔をうかがって、改めてその瞳に見惚れた。
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    ツキシロ

    DONEガルシア博士×アシストロイド晶♀。パラロイ軸本編後、ラボに残った晶。約五十年後、博士が亡くなった後、旅に出ていたオーエンとクロエがラボを訪れる話です。捏造多数。晶はカルディアシステム搭載です。
    パラレルワールド・スターチス 博士のことですか?
     そうですね、とってもお優しい方でした。私たちアシストロイドのことも、友人のように扱ってくださいました。アシストロイド差別について、何度か講演などもしていらっしゃいましたが、あれは本当に、仕事だからやっていたのではなく、私たちアシストロイドのことを、生活のパートナーとして思っていてくれたことは、ラボラトリーの中の人間も、もちろんアシストロイドも、誰もが知っていることです。
     それ以外のこと? もうお亡くなりになった方のことを話すのは憚られますが……そうですね、博士が受けていらっしゃったお仕事ですから……とても、真面目な方でした。真面目、といいますか、本当に研究がお好きなんだな、と思うことが多々ありました。研究だけではなく、先ほどのような講演やメディア出演、ラボの中での会議など、寝る間もない時期というものが、一年の間に何回もありました。それでも、ご自分の興味があることを見つけると、目がきらきらと輝いて、そのことに集中して、三日も寝ない、ということもありました。ええ、そういう時は、私や、その他の博士の助手を務めていたアシストロイドが、無理矢理にでも寝室にお連れしました。脳波や呼吸、脈拍などを感知していれば、さすがにもう休ませたほうがいい、という潮時は、私たちアシストロイドにはわかりますから。そのために博士は私たちをおそばに置いてくださったのだと思います。
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